LPT annex

whatever LPT consists of

music

Portishead / Third

90年代にトリップ・ホップの金字塔として君臨したポーティスヘッド、10年振りの新作です。前作までのひしひしとした底冷え感はそのままに、壁の分厚さが加わって、無防備な薄着感(それをヤラセ感とも呼ぶ)から万全な寒さ対策を施して業務用冷凍庫に突進して…

Metro / Metro

私の今年上半期ベストに輝く1枚です。70年代モダンポップですが、美しい旋律にのる歌詞は、韓流も真っ青のベタベタ悲恋もの。中心人物のダンカン・ブラウンはVo.のピーター・ゴドウィンとはゲイのカップルだったらしく、破局後脱退。闘病の末‘93年に逝去しま…

Curved Air / Live

1975年リリースされた初期ライヴのリマスターです。どうもこのライヴは、バンドが活動停止中に興行主の金策でやらされたらしく、本来は鈴を転がしたような美声の紅一点、ソーニャ・クリスティーナが一転、頭にたらいでも落ちたかの如く狂唱、完全に針が振切…

The Smiths / The Sound of The Smiths

80年代のマンチェスターを代表するギターバンド、ザ・スミスの2枚組ベスト。3分前後と短くメリハリの利いた曲構成、J・マーの天才的なギターワーク、嫌味な歌詞を風呂場の鼻歌ばりに気持ちよく歌い上げるモリッシーのヴォーカルが当時の音楽シーンを席巻…

Manfred Mann Chapter Three / Volume One

昨年(注:2009年)紹介した'Volume Two'の前年(1969)に発表された、こちらが1stです。これからいよいよ時代が混沌としてくるぞ、といった予兆ふんぷんな耳元絶叫サウンドは次作と同様ですが、押しの強いベースと破裂するホーンセクションが織り成す筋弛緩的グ…

The Stranglers and friends live in concert

1980年、ヴォーカル兼ギターのH・コーンウェルが薬物所持で投獄されてしまい、既に決定していたストラングラーズのツアーに参加できなくなったため、やっつけで召集した「フレンズ」達がライヴに参加、ヒューの穴埋めをしまくった模様を収録したライヴ盤です…

ちょんまげ天国~TV時代劇音楽集~

2002年発売から10年経った今もなお廃盤になっていない、TV時代劇主題歌集の決定版です。水戸黄門や暴れん坊将軍をはじめとするメジャーどころから、曲を聴いて初めて思い出すようなマニア好みまで全27曲、軽妙な曲を聴き進むにつれ、放映当時毎週欠かさず見…

John Foxx & Louis Gordon / Neuro Video

昨年11月*ロンドンで行われたライヴを収めた最新作で、今月国内盤も発売されます。選曲はファン投票との事で、近作を中心に演奏していますが、「ガーデン」時代の作品も3曲持ってきており、中だるみがなく間髪入れない展開で、初期作品から新曲まで隔てなく…

Killing Joke / Killing Joke

現役ポスト・パンクの重鎮、キリング・ジョークが90年代後半の倦怠期を脱出、2003年にデビュー作と同じセルフ・タイトルにて発表した復活作です。80年代後半から時流に乗せたキレイめサウンドで失速していただけに、本来の真骨頂である隙間のない真っ黒なゴ…

Echo & The Bunnymen / Crystal Days : 1979-1999

活動20年を回顧する、4枚組のベスト盤です。年代順に聴いていくと、リーダーのイアン・マカロックが、ガラスの破片を両手一杯握り締めるような若さゆえの不安から、どの辺りで開放され、よき伴侶を得て精神的に満ち、安定してくるかという過程が、笑っちゃ…

Comus / To keep from crying

70年代初頭に活躍したプログレフォークバンド、コウマスです。9人編成という大所帯で、ヴォーカル3人、鳴り物複数、定員オーバーの大迫力です。まるで4畳半の風呂なしアパートに客が15人位やってきて、座る場所もなくワイワイガヤガヤ立ったまますし詰めで飲…

Five or Six / Acting on Impulse : The Best of Five or Six

80年代ネオアコブームの火付け役、チェリーレッドの傑作オムニバス、「ピローズ&プレイヤーズ」に入っていた曲、’Portrait'が明るく爽やかなので他の曲もそうかと思えば大間違いのファイヴ・オア・シックス。長らくCD発売がなく隠没していましたが、満…

THE SISTERS OF MERCY/5CD ORIGINAL ALBUM SERIES

ワーナーがその膨大な版権をもとに自社を代表するアーティストの作品を5枚セットにして廉価再発しているシリーズで、大御所が名を連ねる中太陽の黒点の如くシスターズ・オブ・マーシーも発売されました。彼らは作品が少ないのでこの5枚でほぼ網羅、即席でシ…

The Stranglers / Live X-Cert

'78年のリリース時全英7位を獲得した初のライヴアルバムで、日本でも2006年紙ジャケで再発されました。当時は「ストラングラーズを聴くならライヴから聴け!」と言われた程、演奏・曲構成ともに初期の彼らを知る上で外せない、完成度の高い1枚です。通常パ…

And Also The Trees / Driftwood

’11年9月発売の公式HP1000枚限定アコースティックミニアルバムです。前作('09/6発)も既発曲のアンプラグド版で、またですか?の2連発、しかも新録とはいえ「何故この曲が?」と思わずにはいられない、前作の選外と思しき選曲を多数散見。また甲乙の差が激し…

Judas Priest / Stained Class

1978年発表の4作目です。ヘビメタは全然守備範囲ではないんですが、合宿に向かう車中で1曲目「エキサイター」がかかって、あまりのコテコテ度に頭から離れなくなってしまいました。今月の脳内BGM大賞です。ヴォーカルのR・ハルフォードは、数年前レイザーラ…

The Sisters of Mercy / Some Girls Wander by Mistake

80年代初頭から現在つるっぱげになってもなおゴスの帝王として君臨する、アンドリュー・エルドリッチ率いるシスターズ・オブ・マーシーの初期シングル集です。シスターズは一般的にアルバムよりもシングルが、オリジナルよりもカバーの方がかっこよく、とり…

Magazine / Real Life

70年代パンク・シーンでは、玄人受けが祟ったのか、日本ではあまり回顧されない部類の逸材、マガジンのデジタルリマスターが本国イギリスで一挙発売。これはデビュー作ですが名曲'shot by both sides'(このタイトルも秀逸!)も入っていて、いの一番にお勧め…

Chrome / Half Machine Lip Moves

70年代後半から80年代サンフランシスコで活躍した実験系ノイズパンクバンド、クロームの初期最高傑作と称される2ndと3rdアルバムのカップリングです。同郷のレジデンツとも昵懇だっただけあって、様々なテープ操作による異形の効果音が、彼らが成長期に慣れ…

The Mars Volta / The bedlam in Goliath

本年グラミー賞を獲得したマーズ・ヴォルタの、受賞曲を収録した4作目「ゴリアテの混乱」です。このアルバムにはとにかく「隙間」がありません。急勾配を転げ落ちてくる火砕流ばりの強烈な演奏に、脳天直撃のファルセットヴォイスが追討ちをかけ、あとひと…

Ultravox / Systems of Romance

以前紹介したJ・フォックス在籍時の作品です。1978年発表後脱退しましたが、私は彼がいた頃の、パンクの終焉とテクノの黎明がないまぜで、情熱的でいてどこか傍観している空気感が好きで、中でもこの作品は、今聴いても少年が少年でなくなっていく狭間みた…

Virgin Prunes / ...If I die, I die

U2とメンバーが血縁かつ幼馴染という関係から世に出た稀代のゴシックバンド、V・プルーンズの2ndアルバム(1982)です。音楽性の全く違うU2の前座で「耳の遠い婆さん&小太りのうるさいおばさん」みたいなコントを繰り広げていた意味不明の彼らが、瞬間芸とは…

U2/WAR(闘)

今や世界的スター、U2の3作目です。彼らはこれを引っさげて1983年に初来日し、「夜のヒットスタジオ」にも出演。当時は余りにルックスが貧乏臭かった為、まさかこんなにビッグになって社会的にも発言権を持つようになるとは思いませんでしたが、サウンド…

John Foxx / A New Kind of Man

'83年の初来日以来、実に25年ぶりの再来日*を果たしたジョン・フォックスの来日記念盤で、初期作品のみをプレイした昨年のメタマティック・ツアーの模様を収めたライヴです。既に50半ばのF先生ですが、30前だった初来日と比べて猛烈にパワーが増幅、キーボー…

Section25 / Always Now

ファクトリー創成期より現在も細い脈ながら活動を続けているセクション25の1stアルバムです。先月末リーダーのラリー・キャシディが56歳で亡くなり、公式HPには葬儀の詳細、献花香典受付ご案内、果ては英インディペンデント紙に長々と追悼文まで載ったり、あ…

Fra Lippo Lippi / The Early Years

ノルウェーのAORデュオ、フラ・リッポ・リッピがまだ「オスロのジョイ・ディヴィジョン」と評されていた時代、初期2枚のカップリングアルバム。2枚目にあたる"Small mercies"が、今聴くとピアノがラジオ体操第2みたいな一方で、陽射にきらめく静謐な雪…

Born into the waves / And Also The Trees

通算13枚目にとなる、2016年3月リリースの新譜です。アルバム完成直前に突如イアン・ジェンキンス(B)が脱退した上、華を添えていたキーボードもこの作品では一切参加しておらず、AATTはこの作品後からサイモン(Vo.)とジャスティン(G)・ジョーンズ兄弟とポー…

Lee Ranaldo / Between the Times and the Tides

ソニックユースの浪人生風情ギタリスト、リー・ラナルドの初歌ものソロアルバムです。バンドはフロント2人が離婚して以来活動していない様ですが、このままソロで良いのでは、と思う程の秀作で、白眉は1曲目でストーンズの黒く塗れ!のイントロフレーズがホ…

Mercury Rev / Deserter's Songs

米バッファロー出身の映像系オルタナバンド、マーキュリーレヴの代表作というだけでなく、90年代のモダン・プログレッシブロックの傑作とまで言い切れる作品です。どこか懐かしいメランコリックな旋律と、繊細かつダイナミックな展開は、オルタナティヴ・ロ…

Motorhead / Ace of Spades

'80年発表の5枚目にして問答無用の代表作です。新年早々2枚組SHM-CD(高音質CD)紙ジャケ仕様で再発されますが、1枚持っていても損のない傑作ですので、不景気風を吹き飛ばす起爆剤に如何でしょう。何といっても徹頭徹尾減速することのない爆裂した疾走感…