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episode 0701 : going too far in New Year

「やりすぎな正月」

 今年も主人の実家へ帰省した。昨年とはうって変わって暖冬の盛岡は地面に雪一つなく、日中も東京の朝方より暖かい位だった。だからといって、あくまで帰省なのでさほど出歩くこともなく、もっぱら実家で…食べていた。

 東北にはもてなしの流儀として「ちぎっては投げ」というのがあるそうだ。その状況は太宰治の「津軽」に詳しいが、隣藩・旧南部藩の盛岡市民である主人の実家でも、確かに切れ目なく食べ物が出てくる。母の手料理、地元名物、お茶が出たら次はコーヒー、勿論茶菓子付き。どれも美味しいし、断る理由もないから遠慮なく頂いたが、大晦日の晩は山盛りの煮〆を腹一杯食べた後、おもむろに「…年越しそば、食べますか?」で、さすがにギブアップ。元旦の昼食にしてもらった。だがちぎっては投げられているうちに胃も拡張、しまいには自分で持ってきたお土産も完食。寝る前には勝手に牛乳まで貰って飲んでいた。

 帰京する際も、雑煮で余った餅や沢山のお土産を、疎開地から戻る都会の子供さながら持たせて頂いた。東京で順調に消化していると、だんだん胃が痛くなってきた。さすがに食べ過ぎた、と反省する間もなく、腹が狸の着ぐるみ状態に張ってきた。そして未明、下痢と腹痛で目を覚まし、胃痛が食べ過ぎではなく昨今大流行の胃腸炎に感染していたことに気がついた。2次感染を防ぐ為、その日は会社を休んだ。家で一人、ガス爆発するのではないかと言わんばかりに腫れた腹を抱え、今何か面白いことを言われたら、瞬間下着を駄目にしそうな緊張感が、終日下半身に漂っていた。

正月は「食べ過ぎて太った」位が、話の落とし所としては丁度いい。今年は少々、やりすぎた。

Jan. 2007