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LPT annex

whatever LPT consists of

episode 0807 : Compulsory education

「義務教育」

 以前、友人の子供が小学校の家庭訪問を受ける際、希望事項として「勉強できる時に精一杯勉強させてください、スパルタでお願いします」と事前回答した所、担任に、今そんなことをいう父兄はいない、と驚愕されたという。ゆとり教育の弊害が語られる以前の話だが、私は親としての彼女の姿勢に、心から賛成したことを覚えている。勉強は、その時はなんの役に立つのかと思ってやっていることが殆どだったが、成人して、何かを判断し、理解し、選択し、意思伝達し、時には危機を回避し、結果人生を楽しむ上で、勉強はしておいて邪魔にはならない、特に義務教育はやはり疎かにすべきではないと思う。
 先日、出勤途中の丸の内線で、出口付近に欧米人観光客が数人立っていた。どの人も巨人島からやってきたような巨体で、ただでさえ満員の車内では、昇降客の大いなる妨げになっていた。朝からいい気分なのか、緊迫した日本人通勤客など視界に入らないようで(実際目線が高いので)、沢山の人が乗降りするのも全く関せず、大声でゆるゆるの談笑を続けていた。両足で立つ場所を確保するのがやっとな朝の丸の内線、普段でもはじき出されるように降りる事もある。御多分に洩れず、私が大手町駅で降りる際も「すみません!」「降ります!」と、何度言っても通じない。その時、もまれながら一言、腹の底から低い声が突如口をついて出た。

「エクスキューズ・ミー?」

それまでデレデレ笑っていたオヤジ達が瞬間縮み上がり、びびった小声で「イ、イエス…」とすまなそうに謝りながら、可能な限り出口を確保してくれた。お蔭様で、危うく降車できず次の駅まで道連れになるところを、無事大手町で降りることが出来、会社にも遅刻せずに到着した。

エクスキューズ・ミーは、中学1年で習う英語の基本である。折角義務教育を平等に受けられる国に生まれたのだから、このぐらいとっさに口から飛出して無邪気な外国人観光客を粉砕するくらいにならなければ、世界にはいまだ教育を受けられないが為に生きる選択肢を極度に狭められている人たちが大勢いることを考えると、お天道様に申し訳ないと思う、今日この頃である。

 

Jul. 2008