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episode 1102 : Meet & Greet !

「潜入!!韓流イベント」

 先日、主人が休日出勤する事になった。主人が勤めるレコード会社に所属する男性韓流グループのイベント立会で、参加するファンの誘導整理にあたるという。
終わったら夕食でもどうか、折角だからイベントも見にくればというので、韓流スターに興味はないが、どんな人達がファンなのかは大いに興味があったので、出かけることにした。シングル発売記念イベントで、買った人はこの日のために来日したメンバーと握手したり、一緒に写真を撮ってもらえるのだという。

 会場につき、客が良く見えるようステージに背を向けた裾に陣取ったが、先ず目に付いたのは、半袖チュニック+デザインカットソー+ストレッチジーンズ+もこもこブーツ、という判で押したようなファッションの、自分と同年代の中年女性達だった。どの人も緩くとろけた表情で一様にお目当てのメンバー名がハングルで書かれたうちわを握り締め、綺麗に顔を整えたメンバーがステージへ現れると全員絶叫、噴水の水柱が天高く上がりバルコニーからこぼれ落ちんばかりの声援に後ずさった。途中ゲストで女性歌手が参加、黄色い歓声は露骨に低いうめき声へ豹変、メンバーが前に出るとキャー、彼女が出るとグァァ…と嗚咽に変わるのも驚いた。一方客席中央はプレス席らしいが、どう見ても趣味と実益を兼ねた年配の女性が何名もバズーカ砲みたいな一眼レフでかぶりついて撮影していた。

 30分程のステージが終わると、いよいよファンお目当ての握手会と撮影会だ。整理券順に並ばされた800名のファンが高速ベルトコンベヤ状態でメンバー全員と握手していくのだが、司会者が口を酸っぱくして「直接物を渡すな、ハグはするな」と5分おきに警告する脇には、各メンバーの名前が書かれた段ボール箱があり、直接渡せないプレゼントが次々と放り込まれる。時期的にチョコが多いようだが、中には明らかに高級ブランドの紙袋に入った革小物と思しき包みもある。本当に喜ぶのかな、そんなもの韓国で幾らでも「安く」買えるのでは?

 握手の列には脂の乗った中年女性にまぎれて、高齢の女性が1人で並んでいた。メンバーと握手を交わし終わった瞬間、スタッフに後ろから両腰を支えられ、すぐさま勢い良く横に流されたおばあちゃんは少々吹っ飛んだ。すると、心配するやいなや、下段へ誘導していたはずの主人がおばあちゃんにさっと寄添い、両手を握り締め、一緒に一段一段ステージの裾まで降り「気をつけてね、有難う」と見送ったのだ。たった一人の客を大事に誘導し、かつ全体の流れも崩さない主人の仕事姿に、裾で見ていた私は我が夫ながら感動した。そして横には「お兄さん、お兄さんが良くしてくれたんだよ…」と握手の感動もそこそこに、下段の余韻に浸るおばあちゃんと迎えに来たその家族がいた。

 いいものを見せてもらった。来て本当に良かった。そう思いながら、イベント立会の終わった主人とカツ丼を食べて帰った。

Feb.2011