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episode 1202 : Sakuradai Curry War : one

life is life

「桜台カレー戦争(前編)」
 
 開国後、日本人のカレー好きは周知の事実で、家庭で作る欧風カレーは勿論、近年ではサラサラで激辛なインドカレーもすっかりお馴染みになった。先日、桜台は個性派ラーメン激戦区だと紹介したが、昨年からもう一つ、熾烈な闘いを繰り広げている飲食店がある。インド人がやっているインドカレー屋だ。

 始まりは、桜台駅前の魚系定食屋が、店主高齢の為廃業した事だった。駅前で空気のような存在だった焼き魚屋が、全くの居抜きで形を変えずインドカレー屋になるまで、さほど時間はかからなかった。作りは全く昭和の定食屋にインド人がぎっしり。昼も夜も各種カレーとナン(またはライス)で599円という微妙な価格設定の上、本格的なタンドリーチキンやシシカバブも一通りあり、更にテイクアウトでは10%引きというハイピッチな激安設定で、順当に集客していった。少し余裕ができたのか、ネオンサインを新調した。地元の施工会社へ適当に頼んだのか、明らかに和風水商売用で縦書きに「インドカレー」と書かれたネオンちかちかの看板が煌々と輝き始めたが、裏はのっぺらぼうだった。そこに、別の店が満を持して反旗を翻したのである。

 その店とは、こちらも数年前に潰れたスナックを居抜きした、別珍のソファとマホガニーの調度品が料理に合わないインドカレー屋だ。全体的にもう少し高い価格設定で以前からランチセットやテイクアウトを提供していたが、目と鼻の先にある前出の店がオープンすると次第に客足が衰えた。そこに「テイクアウト500円・サラダ付」という看板を出し、あからさまな攻勢をかけた。新機軸としてこの店がテイクアウトにモモ(ネパールの餃子)を加えたら、もう一方も早速モモを始めた。しかも、数十円安く。ある日主人がテイクアウトしに行くと、インド人の店主は何も聞いていない主人に対し、まくし立て始めた。

「あそこの店ね、やってる奴らうちの常連だったですよ。何度も食べに来て、うちの斜め向かい店出した。とんでもないですよ」この店主、さきの大震災時には何とか祖国へと脱出を画策したが、奥さんが身重でどうにも逃げられなかったと、涙ながらに語っていたそうで、喜怒哀楽の激しい話し好きらしい。

 至近距離で壮絶なデフレスパイラルの火花を散らす2軒のインドカレー屋。だが、一歩鼻先リードしていたはずの前出の店が、年明けに突如閉店してしまった。続々と搬出される錆だらけのダクトや什器、店頭には何の告知もない。そのうちぴったり様子が膠着し、通りは静まり返ってしまった。ライバル店に常連のふりをして偵察をかけ、至近地に開店したインド人達はどこへ?残った店のデフレ価格は据置きか?次回、衝撃の第二次カレー戦争勃発!!

Feb. 2012