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ハンブルサーバントの独り言 Humble Mumble 14 : Baby Driver (2017 USA)

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誰でもお気に入りの音楽があると思う。頭に残って離れない曲。落ち込んでる時聞くと復活できる曲。逆に気分が悪い時には絶対聞きたくない曲。スーパーやラーメン屋さんのチェーン店のテーマ曲みたいな、どうでもいい曲が耳から離れなくて困ることもある。この曲を聴くと気分が上がる。最近脳内アイポッドでずっと流れてるのはツェッペリンの「移民の歌」だ。年末、妹夫婦の家に行ったらグーグル・ホームとかいう最新ガジェットがあり、「OK,グーグル、ツェッペリンの’移民の歌’かけて!」とお願いすると、「ナナニンノ

イミンヲサガシマシタガ、ミツカリマセン。」という返事が返ってきてギャフンだった。 

何の先入観もなしに新作Baby Driverを見た。スゴイ!キャッチコピー通り音楽と映画がガンガン、シンクロして進んでいく。面白くてたまらない。

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主人公Babyは子供の頃交通事故で両親を亡くし、その後遺症で耳鳴りが止まらない。それをかき消すために四六時中アイポッドで音楽を聴いている。それもヤバイ組織の’逃がし屋’として強盗の待機中も、逃走中も、音楽を聴いていると天才的能力を発揮でき、「85号線のゴースト」と闇社会で噂されるほど、時速210キロで散々追っ手を煽って逃走するという離れ業までできてしまう。大きなサングラスをかけて、いつも音楽を聴いているから無表情で無口。ワルたちと作戦会議中でも指でリズムを刻み、頭の中ノリノリだが作戦内容はすべて把握している。

もっと子供の頃、車泥棒を働き、ボスのベンツとヤクの価値さえ分からないままオシャカにしてしまったため、ボスに呼び出されるたび上記の「特技」で借金返済をしている。

強盗のたびメンツを変えるボスだが、ドライバーだけは変えない。「お守り」代わり!しかし、メンツが変われば結果も変わっていく。逃がし屋として運転してればよかったものが、次第に死人まで出てくるようになる。

実生活では聾唖の心優しい黒人老人の里子として安アパートで仲良く暮らしている。近所のダイナーの薄幸ウェイトレスとも仲良くなっていく。

流れる音楽はアメリカン・ポップものかと思いきや、この監督のセンス、趣味には驚かされる。若い二人がコインランドリーでイヤホンをシェアしながら聴く、初期T・REXの’デボラ’の初々しいこと。ノリのいい曲が全編流れているが、ひとつのリズムも逃さず、曲に合わせてクチパクでBabyが踊る姿がやけに優雅。やはりこの俳優さん、ええとこのボンで、バレーやってました!

しかし、血が流れるたびに歯車が狂っていく。Babyも警察に追われるハメに。ショッピングモールを逃げ回るシーンで流れるフォーカス・ポーカス!!我が耳を疑ったが、ラッパッパーは画像にピッタリ!

誰でもお気に入りの曲がある。「おまえのお気に入り、’Killer truck’は何だ?」とある時仲間に聞かれる。即答、「Brighton Rock!」ギャー!Queenじゃないの!

そして迎える仲間割れ。「ここは俺のいる世界じゃない、終わらせなきゃ!」ボスに頼るものの、あっけなく殺されるボス。元仲間が猛スピードで向かってくる。そう、Brighton Rock!にノリながら。殺らなきゃ、殺られる!立体駐車場での息を飲むアクション。三味線のように背後で鳴り続けるブライアン・メイの巧妙なギター・ソロ!裏声で歌うフレディ!(R.I.P) 

音楽はひと仕事終わった後に、酒を飲みながらゆっくり聞くもんだ、とゆずらないワルもいたが、敵の車に手榴弾を投げ込み、ドカンといったところで曲に合わせ、「テキーラ!」と締めていました(笑)

馴染みがあるようでないような、個性的な俳優陣もカッコいい、内容に反して物凄く楽しい映画です。オススメ!!

 

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