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Humble Mumbleその35:ベン・ウィショーまつり②:「嘆きの王冠 リチャード二世」The Hollow Crown Richard Ⅱ(2012 UK)あるいは、「007スカイフォール」Skyfall(2012 UK,USA)

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はいはいはいはい、はまっちまいましたよ~!!!ベン・ウィショーに圧倒されっぱなし!前回の「英国スキャンダル」を見た後、「嘆きの王冠:ホロウ・クラウン」というシェークスピア戯曲を映画化したシリーズ作品を偶然知りました。ジェレミー・アイアンズがヘンリー4世、息子がトム・ヒドルストンとか(タヌが、もったいなや、もったいなや、と名前言っただけで合掌して拝んでました)、ベネディクト・カンパチ様もリチャード何世かで主演してて、豪華絢爛なシリーズなんだけど、その中に宝石が散りばめられた王冠を被って、なんか、もう目がイっちゃってるような、ベン・ウィショーがいるじゃありませんか!!

嘆きの王冠 ホロウ・クラウン リチャード二世 【完全版】 [DVD]

「リチャード二世」。このシリーズの中でも一番荘厳で見ごたえがあるとか、レビューにあったんだけど、すっかり忘れてたんですよ。ベン・ウィショーは元々舞台俳優だったっつーのを!そのくせ、舞台もシェークスピアも別に詳しくないし、漠然と舞台俳優...と思ってたのが、彼は英国王立演劇アカデミー出身なんです。「英国スキャンダル」を見た後、「リチャード二世」を見て、「シェークスピア俳優」という表現がどういう意味をもつのか、どうよ、どうよ、どうよ!と突きつけられた感じ。その基礎あればこそ、彼は下賤から高貴な役まで自在にできるということに感動しました!
シェークスピア作品だから、演技というより、とにかく独白、台詞の洪水。大ファンなら決め台詞や、ハイライト・シーンとかご存知なんでしょうが、あのパフュームでの匂いたつような汚い青年、ヒステリーで情緒不安定なゲイ役、同じ人ですよ、この王様!

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左からパフューム、英国スキャンダル、リチャード2世のベン・ウィショー。キャイ~ン♡

やはり、気性が激しく、ご機嫌取りの言葉しか聞かないプライドの塊。統治も傲慢で、美意識も高く、どこか女性的で、台詞の言い回し、目線の送り方、指先の動きひとつ、笑い方、泣き方、もう目が釘付け!王様はゲースロなんかでは当然、大股ひらいてドーンと玉座に構えるのが常だけど、彼は綺麗なお洋服にほぼオネエ座り。いいわあ。ヘンリー4世との台詞の応戦で、王冠を渡す渡さないの緊迫したシーンでは流れを崩すかのように、「え?何?今なんて言ったの?もう一回言って。はああああ~~~???」(と私なら訳す)シーンが一番好き!マックス、その時代の王様の金ぴかの甲冑に身を包み、背景には金ぴかの天使とかまで配置して、ビクビクして待ってる所とかも芸が細かい!それでいて、物凄く高貴なオーラがビンビン出てる。

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①やっぱ、泣いちゃう ②鎖帷子オン ③誰もひざまずかない

物語の進行も、叔父だ,従兄弟だと、ほぼ肉親内のもめごとで、自分の立ち位置が一番よくわかってない、もともとおべっか使いだった若い従弟に幽閉先で暗殺される。歴史ってこんなに陳腐な采配で動くのね...
和睦の為、フランスからもらった嫁が7歳だったというので(劇中ではもっと大人。あと10年待て、10年!*とタヌがまた’どろろ’にリンクして叫びました)、ゲイ路線も極めていらしたそうですが、裸体に矢を撃たれて亡くなる姿が、19世紀頃からゲイのアイコンになったという聖セバスチャンの姿そのもので、冒頭で取り巻きの画家が同聖人の絵を描いてる場面もあり、リチャード二世が嬉しそうに画家やモデルの体を撫でるとこがもう...

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①冠ちょーだい ②はい、あげる ③やったもんね!

そうそう、それでリチャード二世の王座を奪うのが従兄弟のヘンリー4世なんだけど、これがローリー・キニア!これまたシェークスピア俳優では屈指の方!だそうで、確かにその淡々とした醸し出すような演技力には脱帽でした。それがまたなんで、今回王様物と007なのかというと、お気づきでしょうか。007ではベン・ウィショーは世代交代したQ役に抜擢され(ハッキング上等!モッズ・コートに黒ぶちメガネだもんね!)、MI6のMを支える補佐官もローリー・キニアが背広にハゲ頭で演じているんです!色々写真を集めてタヌに編集してもらいました。

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①新生Q!! ②007を支えます ③毛の量が違う

補足ですが、同作品にはMの後釜となる人物に「シンドラーのリスト」が即浮かぶレイフ・ファインズも出ていて、彼もシェークスピア俳優だそうで、Skyfallでは一瞬3人が一緒になる場面があるんだけど、監督は心の中で、「Three Hamlets!!」(ハムレットが3人いる)と叫んだとか。

「リチャード二世」も「スカイフォール」も2012年に撮られてるというのが興味深いです。この頃、ウ氏は30歳位。新生Qは現代っ子バリバリ風で、とってもチャーミング。もっと若い頃に撮ってる「リリーのすべて」での彼はなぜか恰好悪く、髪形も変で叔父さん臭く、上方芸人みたいなんだけど、わざとかな~。女装のリリーにキスして、鼻血ブーさせちゃう人なんだけど。

 

007 / スカイフォール (字幕版)
1円

 

Skyfall自体、今までの007ものとは何か根本的に違い、人間らしさが漂う傑作です。オープニング・ロール、アデル熱唱の‘Skyfall'部分だけでも見る価値があるな!て、あまりにヒットしたからか、DVD中古で1円で売ってました(爆)ダニエル・クレイグさんには悪いけど、感想、4行ですます私って...悪役さんも顔がでかくてかっこよかったな~!

さあ、さあ、さあ、まだまだ続きますよ~、ベン・ウィショーまつり!.....かな?つづく!!

 

*あと10年待て…政略結婚で、相手国側が用意するお姫様に幼児はつきもの。年を食えばどうでもよくなる年の差婚も、若い時は10も上なら大違い。スタート地点が30歳と20歳ならまだしも、20歳と10歳ではほぼ犯罪。リチャード2世の再婚相手、イザベラ・オブ・ヴァロワも王が30歳の時に7歳で結婚、10歳で夫と生別(別々に幽閉)、11歳で死別後里に返され、17歳で再婚、19歳で初産時に死亡…とユニセフもびっくりの悲しい人生だった。手塚治虫原作のTVアニメ、どろろの主人公二人は、原作では兄貴分の百鬼丸に「俺の連れ子」呼ばわりされていた女児どろろが、2019年リメイク版アニメでは双方の設定年齢を寄せ、百鬼丸は16歳、どろろは11歳(栄養状態が悪いのか身長設定が110cmで7-8歳程度にしか見えない)だったので、二人の関係性が微妙で、視聴者からも「百鬼丸。あと10年待て、いや5年でいい」という声が多数上がっていた。って、あれぇ?何の話だっけ?