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ハンブルサーバントの独り言 Humble Mumble Summer Special : Who Do You Think You Are(BBC) あるいはSuffragette(未来を花束にして)

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2004年から好評を博しているUKの先祖探しTV番組、Who Do You Think You Are.
そういえばイギリスの何人かの友達との会話にも何回か登場していた。先日4半世紀ぶりに会いにいったEssexPeter親子は「探しても探しても、どこまでも貧乏だった。「Happy but Poor!」と笑っていたけど。はからずしも、我が家もひょんなことから最近、父方の曾祖父がオランダ人だったということが判明した。台湾がオランダの統治下だった時代があるし、大航海時代の事、どこで何があってもおかしくないけど、「自分が何でできているのか」と考えた時、妄想は果てしなく広がる。しかし、冷静に歴史などを調べていくと残酷な事実にぶち当たったりもする。今のように格安航空券もない時代、わざわざ台湾までやってきた曾祖父はそこそこのミッションを持っていたのだろう。そこに十代の曾祖母(中華)が下女として入り、おてつきで生まれたのが祖母。ダッチはさっさと次なる目的地に旅立ち、着地点はイギリス。そこで家庭を築いて落ち着いた...のなら、我が家の英国との深い縁にも納得がいく。祖母はその後、祖母にとっての祖父母により、おそらく、混血でもいいところに嫁に出すため「纏足」までして17歳位で結婚している。祖母と話ができるなら、色々女同士聞いてみたいものだ。洋名Kimburley。私たちに現れた日本人らしからぬ骨格と白い肌は確かにダッチゆずりだとも思う。だから何なのって、それ以上でもそれ以下でもないけど、DNAとは不思議である。ちなみに祖母は富豪の妻として沢山子供を産み育て、天寿を全うしています(笑)
満を持して爆進中のLPT Grossmith特集。万博出展!ワラント獲得!香水のレシピ発見!子孫が復興!などと、非常にドラマチックだ。しかし、先祖探しの中でもこれはかなり異例のケースだろう。毎日ドキドキして読み進む中に前出のWho Do you~が添付されており、勢い50分以上にわたるアニー・レノックスの回を真剣に最後まで見てしまった。貧困、どこまでいっても貧困。よくて工場で働き、ついつい何度も私生児を産んでしまい、育てられないから大叔母に「下働き」として預けるが「Useless」として戻されてしまう。当時行き場のない貧しい子供は「商品」扱いだった...「ビクトリア朝って、なんて残酷なの!貧困て醜いわ」涙ぐむアニー。自分の先祖のひとりでも、そんな思いをして夭逝していたとしたら...
時を同じくして、偶然今春公開されていたUK映画、Suffragette(未来を花束にして)を連載開始直前に見た。1912年貧しいロンドンが舞台だ。女性参政権を得るために奮闘した女性達の実話に基づく映画だが、不思議な事にGrossmith特集の時代背景となんだかかぶるのだ。女王様の国なのに、英国では当時女性には参政権がなかったという。「女性は感情的で、政治的問題には冷静な判断ができないから」というのが理由だそうだ。洗濯工場で7歳でパート、12歳でフルタイムとして働く。低賃金に過酷な労働。セクハラ。皆、短命。それでもささやかな家庭を築くが、男女平等、参政権獲得を声高にアジる特権階級のマダムに感化され、次第に活動に参加していく。言ってもわかってもらえないから、彼女たちの行動は器物破損、ポストに爆弾、金持ちの別荘爆破...と過激きわまりない。投獄されればハンストもする。活動家の一人、薬剤師として登場しているヘレナ・ボナム・カーター(まいど!)でさえ警官につかまればこん棒でボコボコに殴られる。「違う人生が送れるかもしれない...」と活動にのめり込んでいく主人公。でも待っていたのは家庭崩壊。仲間の死。何度も投獄される妻に嫌気がさした夫は、幼い一人息子を勝手に養子に出し離婚。養子に出された坊やにはまた違う人生が待っていて、違うファミリーツリーができて...
この映画を見た後、特集記事を読むと、時代背景が何か3Dで浮かび上がるようで。一生ド貧乏の彼女たちは、香水の「こ」の字とも縁がなく、安全な場所から彼女たちを煽る特権階級の思想家婦人は、綺麗なお洋服、すばらしい香水に日々囲まれ、違うファミリーツリーを築いていくのだろう。
お時間のある方はSuffragetteも是非見てみて下さい以上、ハン1からの絶叫レポートでした!コケーッ!!

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4 Aug 2017