昨年は10月にTHIS HEAT 、12月にKING CRIMSON、今年は4月にKRAFTWERK, 7月に人間椅子と最近は自分には珍しくそこそこ大きな会場でライブを観ている。人間椅子はまだしも(とはいえ彼等も既に50歳超えだが)他はメンバーが既に年金生活者でもおかしくない方々が殆ど。今生のお別れ的な気分も大ありなわけで・・・
そして先日、又、高齢者のバンドを観に行った。フランスのバンドMAGMA。何回かこのコーナーで出場しているバンドなので詳細説明は無し。結成50周年!リーダーは71歳。来日公演は今回で7度目。7回も来ているのに観るのはこれが初めて。私の場合好きなやつでもライブ観た事無いものは結構あるが、これに関してはもう少し前に行っていても不思議では無いのだが、前々回はフジロック2010年、野外フェスに何の魅力も感じないのでパス(ライブ以外の金も余計にかかるし)。前回2015年は何か公私ともにバタバタしていた時期で断念。で、やはり今生の別れ気分になる今に至り漸く行けました。
六本木の公演会場へ向かう道中は20代半ばに働いていたあたりだが、昔の面影を残しているのはパチンコ屋のみ、勤務地だった場所はヒルズにのみ込まれ、昼飯を食べていた場所はチェーン店やコンビニに変わっている。4半世紀も経てばそうなっていてもおかしくは無いが、そういえばあの頃仕事終わりに一緒に呑んだくれていた方々ともすっかり疎遠になっている。皆さん元気なのだろうか・・・
会場に開演30分ほど前に到着。グッズ売り場をひやかそうとしたが長蛇の列でとても開演までに物色出来そうに無いので断念。おとなしくドリンクを交換し席に着いて開演を待つ。ステージ全体の3/2程に纏められたセット、楽器とアンプが置いてあるだけで演出っぽいものは何も無し。巨大なグロッケンが存在を主張しているが、他はかなり小口径なバスドラのドラムセット、キーボードはエレピのみ、ポスターでは11人写っていたが今回の公演は8人編成らしい(ドラム&Vo, ギター、ベース、エレピ、グロッケン、歌3人)。背景に幕もなくステージ後ろは広大な空き地状態。昨年観たクリムゾンもシンプルだったが、あちらはドラム三台が前方を埋め尽くしているという異様なセッティングの上、サウンドスクリーンやらエフェクター等が多数ある為ステージ上はかなり賑やかだった。
そして会場内では通常、開演前の客入れの音楽がかなりの大きさで流れているものだが、開演10分前位まで極小音量で流れていただけ、そして開演直前は殆ど無音。客も騒ぐ事無くシーンとした中、開演を皆で待っている。クラシックの公演かと思った。
客電が落ちメンバーが出て来る、拍手は盛大だが客が叫んだりとかは無し。出てきたのは全員黒づくめ爺さん、婆さん、オジサン、オバサン。特にリーダーと一緒に長年活動してる(元妻でもある)ボーカルは歩き方が完全バアさんの歩き方で(69歳)音が出るまで大丈夫か?と要らぬ心配をしてしまった。杞憂だったわけですが。
公演はほぼ2時間強。やった曲は3曲。2曲目は3曲を繋げたメドレー形式だったので5曲と言えなくもないが、一旦始まると30-40分ぶっ続けの演奏、後半高速化してくる曲が多いが、高齢バンドにありがちなスピードが全盛期の半減速という事も無く、終始高いテンションで最後まで。婆さんもよくあんなヨボヨボな歩き方からこんな声が出る・・・と感嘆してしまった。「魔物が乗り移った」というような言い方はあまり好きではないがそうとしか言いようの無い凄まじい演奏を堪能。途中であまりに演奏が気持よく少し船を漕いだのは内緒だ。唯一残念だったのは、曲冒頭に「ハマタイ!」と叫ぶ曲をやって欲しかったがそれは演奏されなかった事。翌日の大阪公演では1曲目にやったと知り、大阪のお客さんが少し、いや、かなり羨ましかった。
終演後、我々はサイゼリアで打ち上げ、店内は禍々しいMAGMAバンドロゴTシャツ来た客に埋め尽くされていく・・・他にはKING CRIMSON,GOBLIN Tシャツを来た客も。ファミリーレストランがどんどん暗黒の世界へ変貌。私は天の邪鬼気分でKevin Ayers Tシャツで行きましたが。
その場で思わず呟いた「もう、観たいものは大体観たな。あとは黄泉の国行かないと観れないわ」というのはかなり本心だったかも。
あ、でも3月のNEW ORDERがあるか。でもかなり高確率でガッカリしそうな予感が・・・
そろそろ打ち止めかなやはり?