LPT annex

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Humble Mumble その28:バーフバリ 王の凱旋(India, 2017)

唐突ですが、お釈迦さまは実在の人物で徳を積んでは何度も生まれ変わり、満を持してその昔、インドエリアの釈迦族の王子として誕生するも、人間につきまとう老、病,死,苦の元を解明すべくすべてを捨てて,難行苦行の末悟りを開かれブッダ(すべてを悟った人を言う)になり、人類に光明をもたらした...私の知識ではこの程度しか説明できないが、釈迦族の王子っていったいどんな生活よ...と下世話な思いもわいてくる。

見てしまった。世界で300億稼いだという、もう、みなさん、とっくにお馴染みの「バーフバリ1&2」計5時間の前後編!前から、折に触れタヌが「バーフバリ、面白いらしいよ!」と鼻息荒く言っていたものの、マンガ版まである、暑苦しいボリウッド映画はちょっとな~、「スラムドッグ・ミリオネアは好きだったな!」と言うと、「あれはハリウッド映画だよ!」と間髪入れず訂正された。

バーフバリ2 王の凱旋 [DVD]

いやはや、長い!前編のThe Beginningと後編、The Conclusionは1本で2時間半位でまとまったのではと思うくらい。しかしインドの熱い血がそれを許さなかったのだろう。回想シーンも流すぎて集中力必須。簡単に言うと、王族間の3世代に渡る王座を巡る争いなのだが、分かりやすい勧善懲悪。バーフバリ、カッコイイに決まってる!踊りや歌は絶対はずせない。ぜんぶてんこ盛りにしないと!豪華絢爛な衣装も音楽も大変よくできている。言語が耳慣れないインドの原語なので、こればかりは字幕が頼りだ。凄いんです、翻訳家さん。26年に一度、悪魔祓いのため国母シヴァガミが頭に火鉢を乗せて、シヴァ神の神殿まで決して歩を止めず、火鉢の火を届ける荒行。この時代の宗教事情を把握してないと絶対でてこないであろう、パーフェクトな対訳!「シヴァ神殿を三週すれば結願する!」「発願は成就する!」「血脈に流れる業による負債」「今生でこの罪を贖えましょうか」「この因縁は続く!」
また、音楽も重要な役目を背負っていて、今まさに起きていること、これからこうなっちゃうんですよ、って内容を歌詞で都度都度、教えてくれて親切。音響効果も一歩も手を抜かない。
エーッシャ、ウッギャッサー、バフバフバーフバーリ~~~~!バーーーーッッッ!
荒ぶる神よ、シヴァ神よ!バーフの動きも超人的で、CGとかでやりすぎは当然なんだけど、様式美があるというか、敵にとどめを刺す時は、相手の顔を見ずに、「諸行無常~!!!!」と言わんばかりに剣を振り下ろす。習字の止め,撥ね、払い的アクション、鍛え抜かれた美しい体に、揺れる絹の装束に、クラクラくる場面も何度も!インドの女優さんも綺麗!
お釈迦様の時代も、王族はこんな御殿に住んでて、素晴らしい衣装に身を包み...大国、小国の力関係、他国からの襲撃。バッタバッタ、ぶっ殺していく!正義のためなら、国を守るためなら、なんぼ殺してもええねん!! なんか、書物でしか馴染みのないお釈迦様をだぶらせると、3Dイメージ沸いて、ものすごく勉強になりました。お釈迦様はブッダになったけど、最終的に釈迦族は他国に殲滅されてしまうし...こんな映画の中のような殺戮が繰り広げられたのだろうか。人間てなぁ..

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私もこの映画では国母シヴァガミ様が一番好きです(タヌ)

1のBeginningは歌、踊り、暑い国なのに、色々逃げてて唐突に大雪のシーンでボブスレーもどきとか、ラブラブ妄想舞踏シーンとか、サービス満々で濃すぎるんだけど、重要な鍵を握っている最強奴隷戦士、カッタパの最後の衝撃的告白で、2も見ねば収まらない。後編のほうがテンポもよく、ダントツ面白い。結局夜中に5時間ぶっ通しで見てしまい、翌日白目が出血!恐るべしインド映画!
どんなに凄いかは語り切れないけど、一番好きなシーン、政治を司る国母シヴァガミが命令を下す時、必ず「この宣誓を法と心得よ!」と目をむいて言い放つところ! いいから見て見て!王を称えよ、さらに称えよ!!!!バーーーーーッ

 

 

マンプク宮殿25 Music from the Death Factory

 

 中学生時分、購読していた音楽雑誌やFM雑誌(死語ですね。昔はFM放送を録音する「エアチエック」なるものが盛んだったのでFM局の番組表と軽めの音楽&オーディオ記事を載せた廉価な雑誌があったのです。2000年代入る位にはほぼ絶滅しました)で「インダストリアルミュージック」「ノイズミュージック」なる海外の動きが紹介されるようになった。代表的なバンドとしてあげられていたのが「THROBBING GRISTLE」。
デビッドボウイが興味を持っているとか、YMOが注目しているとかの謳い文句に惹かれ、猛烈に気になったがその当時国内盤は未発売。怪しげなお姉ちゃん(副業でヌードモデルもやっていたので、乳放り出し写真なんかが音楽誌に出ていたりしました)と違う意味で怪しげ(猟奇殺人でも起こしそうな雰囲気)な背の低い兄ちゃん+高校物理部とかに居そうな中途半端に長髪な地味男+短髪ゲイムードばりばりのオッサン(後にイギリスで有名なデザインチーム「ヒプノシス」のメンバーだった事を知りました)のアーティスト写真や彼等のデザイン(自分たちのレーベルのロゴがアウシュビッツ、ビルケナウ収容所の写真とか、ジャケ表1がイギリスの自殺名所でメンバーが微笑んでいる写真)、スローガン「MUSIC FROM THE DEATH FACTORY」とか「INDUSTRIAL MUSIC FOR INDUSTRIAL PEOPLE」等に猛烈に煽られながら想像を逞しくしていた。

 

20 Jazz Funk Greats [帯解説・歌詞対訳 / 2CD / HQCD(高音質CD)仕様 / 紙ジャケ仕様 / 国内盤] (TRCP220/221)

 やや時が過ぎてからPASS RECORDというレーベルから日本盤発売。前述した自殺現場写真ジャケのアルバム、「20 JAZZ FUNK GREATS」活動時に出たスタジオアルバムとしては最後の作品。早速購入して聴いてみたのだが・・・ノイズというので想像していたのとは少し違う。貧相なテクノ?TANGERINE DREAMの簡素なパンク版?という感じで一聴しただけではピンと来なかった。が、何度か聴いていると猛烈にイヤーな暗い気分になる事だけが判った。だからと言って聴かなくなるわけではなくまた聴いてしまう。で、又嫌な気分になる。嫌な気分になりたい時には最高!って何を言っているのか自分でも混乱するが、学校から不愉快な気分で帰って来た時など良く聴いていた。不機嫌な時にKISSとかCHEAP TRICKなんか聴くとより不機嫌になるし。
その後、地元輸入盤屋に入荷したライブカセット「BEYOND JAZZ FUNK」、最終作品のスタジオライブ盤「HEATHERN EARTH」(これが一番好きな作品)を購入したりしたが、彼等は解散後、山のようなライブ盤やスタジオ未発表作品、出所が怪しいBOXセット等、とてもフォローしきれないリリースに辟易したのと、解散後の各メンバーの活動が全く興味持てなかった為、いつしか全く聴かなくなった。

 それから幾星霜。2004年に再結成したという情報が流れてきた。ライブをやったり新作を出したりしていたのに相変わらず興味は持てなかったが、何かの機会に新しいアーティスト写真を見てみると、怪しい男は怪しい(妖しいでは無い)女になっていた・・・いつの間にか彼は性転換をしていた。他のメンバーは順当に年齢を重ねてオジサン、オバサンになっているだけなので彼の周りだけ異空間のようになっている。私が知らない間に彼に何が起こったのか?まあ何が起こっていようと不思議では無い感じの人だったから仕方ないのか・・・

Heathen Earth [解説・紙ジャケット / HQCD(高音質CD)仕様 / 2CD / 国内盤] (TRCP231/232)

更に数年経ち、その男→女(面倒くさいので以後ジェネシス君と呼ぶ)が突然意味不明な声明を出しバンドから離脱したというニュースが。ジェネシス君無き後、残りのメンバーで既に決まっていたツアーを続けとりあえず活動終了。それ以降聞こえてくる話はジェネシス君体調崩し生命の危機、とかゲイっぽいメンバーの方は実際ゲイで恋人が不幸な死を遂げた後、タイに渡り客死とか何とも暗い気分になるエピソードばかり。

アート セックス ミュージック (ele-king books)

そして昨年、メンバー紅一点(コージーというお名前)の方が自伝を出版、邦訳も出たのでかなりのボリュームだが読んでみた。出て来る出て来るジェネシス君の酷い話。まあ一方の見方のみで書かれているので全部そのまま受け止めるのは危険だが、ジェネシス君ならやりかねんと思わされてしまうのは負の人徳なのか。彼女は最初ジェネシス君と付き合っていて、後に別メンバー物理部系兄ちゃんに乗り換えたのだがどうも最初の解散の原因はそれらしい。ありがちな紅一点メンバーが居るバンドの解散劇。解散の際、関係各所に送られたメッセージカードには「MISSION IS TERMINATED」とだけ書かれていたらしい。くー!格好良いねえ!内情知らなければの話ですが。

やっている音楽はやたらコンセプチュアルなのだが、それをやっている人間達はドロドロの愛憎劇の中に居たというのは興味深い話なのですが、その本を読了した後、レコードを再度聴いてみた。印象変わるかな?と思ったが何も変わりません。だが同時代に同じジャンルと見なされていた他のバンド、CABARET VOLTAIREやSPK, 23SKIDOOなんかは時代補正込で聴かないと今はキツいけど、彼等は相変わらず中学~高校時代聴いていたのと同じ気分に放り込まれる、というのは凄い事なのだろうか。

 

Force It (2007 Remaster)

※余談ですが本を読んで知った事実、UFOの「FORCE IT」というアルバムのジャケット。お風呂用品展示場みたいな空間で男女がくんずほぐれつしている写真なのだが、この2人はジェネシス君とコージー姉さんだったという事、良く見れば確かにそうだ。デザインはヒプノシスだからやはりメンバー絡みの仕事だったのだろう。今更知っても一文の得にもなりませんが。

 

HUMBLE つれづれ2:Holiday In Taipei!

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コケッ、コケッ、コケーッ!年末恒例、タヌとクリスマスの台北に行ってきたわ!

①ビバ!天成大飯店‼
自力で泊まったホテルの中で、今まで最高じゃん?リピーターだからか、チェックインした途端、「アップグレイドシマシタ。キングサイズベッドとシングルの3人部屋デス!」キャー!!満室だって言ってたのに、広くて明るいお部屋!お風呂も綺麗!台北駅もバッチリ見下ろせる15階。自分ちのフリースペース以上に広いベッドの上で感極まってゴロゴロ転げまわり続けるタヌ!しまいには吐き気と目眩に襲われてノシイカのようにグッタリ。イモよね、コケーーーッ!

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のびました

②悲願ならず!粥の壁!
台湾はなんたってB級グルメ・ダラダラ食いが命!ここ数年泊まってるホテルはちょっとポッシュで、新光三越や大きなホテルが台北駅を囲んで建ってるエリアだから、いわゆる「台湾のハラワタ」ゾーンに行くには結構、排気ガスと人混みをぬって歩いていかなきゃなんないの。朝はホテル真横の小さな店で済ませることにしてるものの、前に「粥」と紙に書いて「ナイッ!」と日本語で拒絶されている。でも新事実!朝から昼までがクレープもどきを商ってる怖い奥さんの店で、昼から夜まで看板通り、別の夫婦が入れ替わり、粥や鍋など出しているらしい。朝さえ我慢すればいっか!と、覚悟の上、店頭の写真を指さして「これと、これ」と注文したら、
「はああああああああ~っ????」ともの凄いリアクション"(-""-)"

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見た目は根性なしのクレープみたいですが、案外美味しいです

再度指さし、すごすご店の奥のテーブルにちんまり二人で座っていると、投げるように豆乳の瓶を置いていく。その後クレープ2種も「ドカン!」「ドカン!」と店先の鉄板で焼けたそばから、顔も見ずに置いていく。何も悪いことしてないのに、ビクビクしながら「ワンオペはまずいよな、ワンオペは...」と10分もかからず食べ終わり(おいしんだよ、結構流行ってるし)、「シ・エ・シ・エ...」と逃げるように店を出る。追い打ちをかけるように、結局、日曜は昼からお粥屋と交代しない事が分かり、意味もなくどんどん用のない方向へ歩き回る中年女がTeam LPTだと誰も知らない。知らね~よ!コケーっ!!!
(注)台湾のお店は言葉が通じなくても、えてしてみんな親切です。この奥さんは経験から、大陸の方だと思われます。コケ...

③マンプク!台湾フードコート!
親戚が連れていってくれる高いお店もいいけど、自由に動き回れる時のランチはデパ地下のフードコートよ!!色んなセットメニューがよりどりみどり♡DNAに台湾入ってる私たちの欲望のすべてが叶うと言っても過言じゃないわ!見てやってこの写真。これで1000円でおつりがくるのよ!他にも胡椒餅、生煎包(しぇんちぇんぱお)、酸辣湯麵、エッグタルト、タピオカミルクティなどなど、みんな百円単位!胃袋がいくつあっても足りないわ!金銭感覚も狂うこと間違いなしよ、コケーーーッ!

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左から春雨炒め、よくわかんないけどおいしいスープ、牡蠣入卵焼き

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食ってる食ってる

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酸辣湯麺。これで200円しない 超絶美味

④インドネシアン・ネイバーフッド
ランチを求めてホテル周辺の知らない方向へ歩いて行ったら、日曜だからか大通りの店は結構お休み。ふと脇に伸びる路地を見るといきなりムスリム・エリアになってて、インドネシア系の小さな店がうじゃうじゃあったの!フツーの日本人は避けて通ると思うけど、目が合った途端、「おいで、おいで!」と中に招かれ狭い店内へ。小さな古いビルの1階、テイクアウトもできる海の家みたいな感じ?店内には「同胞」とおぼしき人々が、なんかカラオケまで楽しんでる。簡素なカウンター席で通じない言葉ながら、メニューを推理し、焼きビーフン系のものを頼んでも、「ベリーグッ!」「ベリーグッ!」と「ナシゴレン」(焼き飯)で押し切られ、紙皿でドッカーン!その間、インドネシアPOPかなんかのカラオケで客がヤーハッハ、ヤーハッハと大はしゃぎ。壁に向かってもくもくとナシゴレンをウマイウマイと食べ続ける中年女二人。この絵ずら、俯瞰で見たら凄く妙よ~~~

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ナシゴレン。本当はビーフン系が食べたかったし、メニューにもあったが完全一択

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客がいるのに店員さんのカラオケタイムが突如スタート

広~い台北駅コンコースでも昨今、土日は出稼ぎに来ているムスリムの女の子たちの集合場所となりつつあり、全員ジャージに頭巾(ヒジャブ)、スマホを持って買い物をするでもなく、所狭しと床に座り込んでる姿はなんか異様だったわ~。エスニックな弁当屋まで出てたしね。あ~ら、飛行機の時間よ。もう、台湾はやめらんないわね!バサバサバサ....

 

マンプク宮殿24 Starless in 金沢

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 2018年もそろそろ終わり。今年後半は自分が中学生の頃に出会い、多大な影響を受けたバンドが連続して来日し、最近滅多に行かなくなった洋楽のコンサートに足を運ぶ事が多かった。
 お前も音楽活動も終活しろというお告げか?などと思いつつ、10月に代官山でTHIS HEAT(THIS IS NOT THIS HEATなる捻くれた名前に改名していたが)。そして今年を締めくくる大イベントは12月のKING CRIMSON。
 彼等は何回も来日しているが、最後に観たのは1996年。20年以上のブランクを経て観る事になる。今回は全15公演!東京7公演、大阪2公演、札幌、仙台、金沢、広島、福岡、名古屋と最早ベンチャーズ状態だが、今年夏に行った金沢で飲み屋街の方々に告知ポスターが貼ってあるのを見て感慨深かった事と、その時入ったプログレ割烹料理屋(?)が余りに美味だった事もあり、店を去る時に「次はクリムゾンの時又来ます!」と宣言した手前、わざわざ金沢まで行って観る事になった。

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‘96年は「ダブルトリオ」とか名乗りギター×2ドラム×2 ベース系×2の6人編成だったが今回は更に人数増えて8人編成、ドラム×3 ギター×2 ベース1 管楽器1 キーボード1、ステージの前面にはドラムが3台並び、通常フロントに居るメンバーが後ろに居るという何とも不思議なステージ。これは前回(2015年)来日時の映像が収録されたBlu-rayで既に観ているのだが実際並んでいる機材を見るとやはり奇妙。

 今回は公演直前に各日60名抽選で開場前に先行入場の上、リーダーの御爺さん(72歳)
ロバートフリップの御説法を聞き、その後、マネージャー&ランダムにメンバー1人が出てきて質疑応答コーナーがあるというイベントがあり、応募したら夫婦共々当選したので会場に16時半に到着の上先行入場。フリップ翁の話はゆっくりと綺麗な発音で喋ってくれるのでかなり聞きとり易いが、通訳さんは固有名詞や彼独特の言い回しのニュアンスが判らず四苦八苦(参加者から訳の補足もされていた)しているのが可哀想だった。クリムゾン好きで過去インタビューまで目を通している通訳さんなぞ探すのは至難の業だろうから仕方ないとは思うが。20分程の講話後はドラムのパット・マステロット氏が出てきて質疑応答、かなり重い質問が出てきて(質問者も英語で質問していて通訳さん出番無し・・・)時間を取ったのか数問でタイムオーバー 時計を見ると17:50。開場まで10分だ。
 
 入場時のお客さんを見るに殆どは男、それも壮年~中年、一部前期高齢者含むという感じだ。客の平均年齢考えると私ですら平均値より下であろうことが容易に判る。開演10分前に後ろを振り返るとPA宅の後ろの席は殆ど空席。ここは最後まで埋まらなかったので6分程の入り。1.000人入っていたかどうか・・・こんなガラガラの客席を見てメンバー気を悪くしないかなと思ったが、実際の演奏が始まるとそれは杞憂に過ぎなかった。

 途中休憩20分挟んでほぼ3時間の公演。若いころの演奏と比べるとスピード感や荒々しさは失われたが、精緻な上、重量感のある演奏はまた違った魅力があった。同時代のバンドが、昔の有名曲をヨボヨボな演奏&声も出なくなっているのを誤魔化すためマイクを客席向けてサビを歌わせている姿とは雲泥の差。たとえやっている曲は過去の有名曲が殆どだとしても「あー、ここはこうじゃないんだよな・・・」とガッカリする事が殆ど無かったのは驚異的だった。アンコールで「Starless」のイントロが流れた時、3時間近く経っているのに「え!もう終わり?」と思った位没入出来たコンサートなぞ今まで殆ど無い。

 終演後、会場外は小雨模様、空は曇天で当然星も見えない。「Starless in 金沢」と呟きつつ街へ降りる。お目当てのプログレ割烹料理屋さんは店長さんがこの公演に来ている為お休みだった。しかし、何回予約申し込んでも埋まっていた別の候補店、客の入れ替わり時間かもと思い駄目元で行ってみたらビンゴ!かなり空いている所に入店でき(その後またすぐ客が大勢きて埋まった)冬の北陸の味を堪能。翌日はお目当ての喫茶店に行き、更に純喫茶なる時代を超越したお店(昔、五木寛之が通っていた店らしい)にも偶然入れて奇跡的に全てが上手く廻った2日間だった。

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いたる本店 何食べても美味しかったです

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いたる名物、日本海おさしみおけ盛り  小おけ(二人前)

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confusion will be my epitaph

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岸 看板猫のあやめ君(左、2歳)とチロちゃん(右、16歳)

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純喫茶ローレンス 店内も凄かったが一番凄かったのは店主マダム・ローレンス(68)


 良い音楽と美味い酒と飯を家族で楽しめた。これから先、こんな良い日が何日あるんだろう・・・とやや感傷的になりつつ、とりあえず2018年は良い年だったのだろう。

 

 

 


 

Humble Mumble その27:Bohemian Rhapsody (2018 UK/USA)

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初めてのコンサートは高1の時のT.Rexだった。黄色い声は飛び交っていたが、それ以上でもそれ以下でもない。自分の席で堪能した。というか「あんまり巧くないな~、ミッキー・フィン好きだな~」が生意気な小娘の正直な感想だった。一緒に行った子はロックのロの字も知らないのに粋がって付き合ってくれた。某漫画コンクールで努力賞を頂き、賞金で買った初めてのアルバムもT.Rex、’Slider’だった。縁起が悪かったのだろう。受験は「すべった」。

この数年後、同じ武道館で「半殺しの目」に合うなど、誰が予想しただろうか。
当時浪人中だったが音楽業界に就職した同級生のコネで、最前列を確保していた。会場が暗くなる。「ギャーッ!!!!!」メンバーの姿が見える。「ギエエエエーーーーッ!!!!!」地鳴りのような異様な音と共に平たい顔の女の子たちが後ろから雪崩のようにステージめがけて突進してくる。観客に向ってガードしている警備員君(おそらくバイト)たちもろとも、将棋倒しになっていく。生まれて初めて、腹の底から「助けてえええええええっ!!!!」と絶叫した。何人も自分の上に重なって息もできないのに、自分の下にまだ何人もの顔が見える。編み上げブーツの紐もほどけ、死ぬかと思ったが、警備員さんが手を差し伸べてくれ、グイッと引き上げてくれ九死に一生を得た。その間、バンドは何事もなかったように、キレキレッのライブを繰り広げていた。慣れてんだろうね、こんな修羅場。

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Queen.私の人生に多大な影響を与えたバンドだ。それまで「安全圏」内のアイドル歌手などは沢山いたが、ステージめがけて家畜の群れのように女子が殺到する口火をきったのは、Queenが初めてだろう。この現象は次々と他のバンドでも現れ、ついには死者もでるコンサートもあった。しかし、当時QueenにInspireされた人は多く、全国にファンクラブ、漫画研究会(漫研)がうじゃうじゃ誕生し始めた。Queenのメンバーを主人公にして漫画を描くのは厳しい編集の検閲があるにしても、どこかで自分の中に芽生えた情熱を漫画に現したい。メンバーの名前をもじった酔狂なペンネームをつけた漫画家も沢山登場した。当時ネットもないので情報源は音楽雑誌しかなかった。銀座の洋書店にドキドキしながら欧米の音楽雑誌を買いにいったり、その値段の高さにタメイキついたり...

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Bohemian Rhapsodyは誰もが知っているQueen,それもフレディの人生に焦点を合わせつつ、語りたくないザンジバル移民という自出へのコンプレックス、エキゾチックすぎるルックスに「歯」。成功、ゲイへの目覚め、バンド間の衝突、取り巻き、メディアの嫌らしさ、AIDS、伝説のLIVE AIDへと、ブライアンとロジャーの音楽監修のもと、見事な構成で見ぬものを圧倒し、同じ時代に生きていた自分にもあった様々な変化の過程を思い出させ、「あの時の自分」を反芻しながら必ず聞いたことのあるメロディに涙した。
私は本国でもパッとしなかったというファーストとセカンドが大好きでイメージ的にはそこで止まっている。どんどんメジャーになり、スタジアム級のバンドになり、知らないゲイのおじさんになっていくフレディには興味がなかった。しかし、長年検索さえしなかったQueen関係のサイトを映画鑑賞後見てみると、あるわ、あるわ、貴重な映像が。

 

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この映画でメンバーを演じた俳優さん達が、振付師ではなく、「ムーヴメント・コーチ」について、「憑依レベル」まで動きを再現しつつ、しっかり演技しているのが凄い!ずっとフレディを若い時から支えてきた、本来なら「妻」であったメアリーの誠実さも一貫して描かれている。私も10代、20代だった。誰もがQueenと言えば...と何かしら思い出があるだろう。様々な楽しみ方があると思う。私が一番強く感じたのは、フレディの「孤独」。そして、突出した才能は「命」と引き換えだということ...11月24日がご命日。
絶対誰とも観に行きたくない、私にとっては非常にパーソナルな傑作でした。(劇場で3回見ました)

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フレディ・マーキュリー。ハン1、10代の作品

ありがとう。フレディ!Someone still loves you....


 

 

マンプク宮殿23 Low Lifeと吉野家

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 洋楽なるものがまだ勢いがあった頃、私の中学時代は人気がある方々の来日公演は札幌、仙台、東京、名古屋、大阪、京都、福岡といった各地方の中核都市で行っていた。記憶ではJAPANやPOLICEなんかも私の出身地近くの仙台まで来ていたはず。それが高校時代になると最初に仙台が外れ、京都は大阪に集約され、福岡や札幌も無くなり東名阪だけ。今では東阪のみが殆どで東京のみという場合も多い。世界的な音楽マーケットの中で日本の需要が減退しており、他のアジア圏、中国(香港)、韓国、台湾、フィリピンあたりの公演の方が集客出来るのでそちらにシフトしているのだろう。

 当時のチケット代は3.000円~4.000円程度だったが、それでも中高生の身分でチケット代&仙台までの往復交通費を捻出するのはとても無理な話だった。ましてや東京など。中学時代は新幹線も未開通だったので行くなら夜行電車で片道8時間以上。音楽雑誌の来日公演情報等臍を噛む思いで見るしかない。たまにNHK-FMで来日公演の録音を放送したり、「LIVE IN JAPAN」とかいうタイトルでレコードが出るのを聴いたりして我慢するのが関の山。当時地元の本屋でも「ぴあ」が売っていたが「ここで売って何の意味があるのだろう?」といつも思っていた。

(当時、私の地元に来た洋楽系で記憶しているのはSKELETON CREW/フレッド・フリス&トム・コラというアヴァンギャルド系ミュージシャン2人のデュオと、デレク・ベイリーというフリー演奏の極北ギタリストが来たはず。何故アヴァンギャルド/フリージャズ系ばかりだったのだろう?そういうのを呼ぶ好事家が居たのか?会場は小さな楽器屋の2階、地元の高校生バンドがライブやるようなスペースでやっていた) 

 その後、上京して晴れて憧れの洋楽アーティストコンサートに行ける。初めて買った「ぴあ」を眺めていると「NEW ORDER」という名前が。会場は新宿厚生年金会館。今調べてみたら85年5月1/2に来ている。となると上京してすぐチケットを買ったのか。中高生時代熱狂的に聴いていた「JOY DIVISION」のボーカリストが自殺した後、残りのメンバーで再始動させたバンドなので気にはなっていたが、高校時代に聴いたのは1stアルバムと「CONFUSION」というシングルのみ。前者は薄口なJOY DIVISION、後者は音が随分ディスコ寄りになっていた。これはこれで悪くないのだが、唄が下手・・・・正直、こんな外れた音程の唄を聴くのは初めてだったので「これで良いのか?」と悩んだ。JOY DIVISONも唄や演奏が上手というバンドではなかったが、NEW ORDERの場合は演奏がシーケンサーやドラムマシン使用でカチッとしているのでよりヘロヘロな唄が目立ちまくる。とは言え好きなバンドの後継だし、来日タイミングで出た「LOW LIFE」という新作アルバムが聴いてみるとなかなか良かった。打ち込みだけではなくかなりタイトなバンドサウンドもあった上、唄も前聴いた時よりまともに聴こえた。「これなら期待できるかも・・・」と思い初めての洋楽コンサートを楽しみにしていた。レコードの音は相当作りこまれた・・・いや、修正されているものだという事には考えが及ばず。 

 当日、会場に入ると席は真ん中より少し後ろ、相当な期待をして待った後メンバー登場。メンバー全員とても地味な装い、ポロシャツにジーンズorジャージ姿、そこら辺を歩いているアンちゃんと変わらない。1曲目は「CONFUSION」知っている曲だ。イントロはシーケンサーとドラムマシンのみ、ここはレコードと変わらない。さて歌とギターが入ってきた・・・ 1オクターブ高いキーで唄い出し、声が出なくてすぐ1オクターブ下げる。下げてもレコード以上に音程が外れている。ギターのリズムも全然合っていない。ベースもやたら音は大きいがヨタヨタした音、そんなストラップ下げて弾く前にちゃんと演奏しろよ。ドラムとキーボードはこの曲ではシーケンサーの操作をするだけで演奏してない・・・おお、ここでまともに聴こえるのはメンバーが演奏してない部分だけだよ・・・・。「え?何?こんなので良いの?」という困惑がレコード以上に襲ってきた。その後の曲からメンバー全員で演奏する曲になったが「キーボードの人立っているだけで演奏してないような?」「キーボードの人たまにギターも弾くけどリズムが怪しい・・というか全部半拍ずれてないか?」「唄はどの曲もまともに歌えていない」「ベースは全くリズム弾かないな、逆にギターはリズムしか弾かないけどカッティングがヘロヘロ」と頭の中に大量の「?」が浮かんで全く解消されないまま1時間少々のライブが終わった。 

 結局、判ったのはまともな演奏はドラムマシンとシーケンサーのみ、ドラマーはまあまあまともだが他のメンバーは高校時代の知り合いコピーバンドにテクニックでは劣るという事実。

 吉野家 冷凍 牛丼の具 30食セット

 今観たものの衝撃も冷めやらないまま、夕食を食べようと入ったのがこれも初体験となる「吉野家」(確か私の出身地に初めて吉野屋が出店したのは90年代半ばだったと思う)当時370円位だったか、「これが有名な牛丼屋か、安いけど美味いのかね?」と大して期待もせずに入ったがこちらは美味しく食べる事が出来た。甘辛い味付けに箸が進みすぐ食べ終わり、さっき観た4000円のコンサートとこの370円の牛丼の満足度の違いを複雑な思いで比較しながら帰路に着いた。

 

パンプド・フル・オブ・ドラッグス/ライヴ・イン・トーキョウ1985 [DVD] 恐ろしい事にこの日の演奏は後にビデオ化され販売された。今はDVDでも出ている。こういうパッケージ作品を出す場合、後から演奏や唄を録り直して出す場合もあるが、観た限りこれは全く修正されていないようだ。今でも観直すとあの時のジワジワした気分が蘇ってくる。その2年後、彼等は再来日し、これも観に行ったが随分まともなものになっていた記憶があるのだが印象が薄い。洋楽コンサート初体験があんなものだった為、その後観たコンサートのリファレンスがNEW ORDER初来日になってしまった…普通に上手い演奏とか観ても何かしっくりこない感じ。  

ロウ・ライフ【コレクターズ・エディション】

初めて食べて満足した吉野屋は今では殆ど行くことが無い。稀に朝早い外出時に朝メニューを食べる位で牛丼はここ数年食べていない。NEW ORDERは今では大御所になってしまい、レコードや最近のライブをチラ聴きした限り随分まともな演奏と歌になっている。曲も悪くない。今でも好きなバンドだ。しかし今でも一番聴くのは発来日公演時に出たアルバム「LOW LIFE」だ。最初の印象がどう転ぶかなんて判らないものだ。(吉野屋は年齢的な部分が大きいですが、でも、今牛丼食べるなら松屋の方が良いかも)

 

 

Humble Mumble その26:「声優狩り」あるいはInglorious Bustards(2009 U.S.A)

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大変申し訳ないが、私は日本の声優さんが苦手だ。最近ではアイドル化され歌ったり踊ったりもするという。原語で聴くより日本語吹き替えは数段テンションが高く、場面の雰囲気ともズレがあり見ていて疲れる。もちろん上手な人もいるんだけど、声優を目指している方、ごめんなさい!ワタス、ダメナノ!

15年以上前から、日本のアニメをわざわざ英語吹替えにした輸入盤DVDにはまった。BIG Oに始まり、CowBoy Be-Bop,、サムライチャンプルー、攻殻機動隊、Ghost In The Shell, Witch Hunter Robin, Death Note、精霊の守り人などは英語の勉強にもなり大変楽しませてもらった。今はもう下火らしいが、当時の海外の声優さんもひとりで何役もこなしたりして、CowBoy~では主人公スパイクの昔年の怨敵ビシャスを同じ声優さんが声色を変えて演じていてトリハダがたった。海外では声優さんの名前は大事にしないが、あれこれ見てると「あ!これあの人の声!」と発見した時のワクワク感。誰にもわかってもらえないマイ・ブームだった。この行為を自分で「声優狩り」と呼んで悦に入っていた。 

イングロリアス・バスターズ [DVD]

様々な言語が飛び交う映画での吹替えはどうなってしまうのだろう。悪名高き?タランティーノ監督作品、Inglorious Bustardsは第二次世界大戦下、ヒトラーが暴挙を働いていた時代。バスターズはゴースト・バスターズではなく、アメリカでユダヤ人を中心に結成されたナチスを皆殺しにしていく兵士軍団だ。嬲り殺しては頭の皮を剥ぎ、必ずひとり生き残らせてどれだけ彼らが恐ろしい存在かを周囲に知らしめる。一応主人公らしいブラッド・ピットが「あんた、絶対普段はそんな英語しゃべらないでしょう!」てくらい、大声で南部訛りの強いアメリカ英語を一本調子に話し非常に煩わしい。

フランス人はフランス語を話し、ドイツ人はドイツ語をイギリス人はブリティッシュ英語を話す。そんな中、ドイツ人女優がイギリスのスパイとして暗躍する。イギリス将校もドイツ人将校に扮してドイツ統治下のフランスに潜り込み、さりげなく地元のパブで作戦会議と思いきや、ベロンベロンに酔った下っ端のドイツ兵に「失礼ですが、変わった訛りですね~」とつっこまれる。こんな細かいところ、どうやって日本語吹き替えするのかな。

山奥の村で育ったから、村じゃみんなこうだ、で誤魔化すものの、あっけないミス(イラスト参照)で正体がばれて皆殺し...「光をくれたひと」のマイケル・ファスベンダーが英国軍人、「マルクスとエンゲルス」で髭もじゃマルクスを演じたアウグスト・ディールがオールバックバリバリ軍服のドイツ将校を熱演しててステキ! 

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名シーン「That's a Bingo !」

でもでも、この映画での最高の収穫は今まで気が付かなかったけど、冷血で自己中のナチスSS高官、別名「ユダヤ・ハンター」、クリストフ・ヴァルツ演じる「ランダ大佐」!アカデミー賞など総なめで、確かに悪人にも関わらず、超お茶目で各国語堪能(本人はドイツ系オーストリア人?)、些細な仕草にも見入ってしまう。人格からにじみ出るアドリブだと確信!アメリカ人を真似して「ビンゴーっ!」と言えた時のはしゃぎぶり!ここだけでも見てほしい!(見て見て‼予告編で!)もう、完全に主役を食ってるし!そういえばこの方、「Tarzan:Reborn」でも悪徳商人を演じていたが、妙に細かい芸が素敵で印象に残っていたっけ。タラ監督のお気に入りらしく、他にも多数出演しています。近年の作品で、オランダを舞台にした「チューリップ・フィーバー」では17世紀の豪商を演じているけど、これはちょっと本領発揮できてなくて残念だったな~。てか、彼だけがまともで他の配役、脚本になんか無理があり、鼻息荒く期待していただけにな~。でも「チューリップ~」を見て検索して、C.ヴァルツに辿り着いたので結果大儲け! 

フランスを舞台にしてるのに、みんな英語とか、ドイツ映画でも英語とか、イマイチ感情移入しようがない作品も多々ある中、「バスターズ」は通訳まで使って、細部に至るまで「言語の違い=人種の違い=偏見・争い」を、過激な描写の中にも自然に世界の広さを見せてくれている気がしました。ちなみに、日本語吹き替え版はまだ見ていません。あしからず!

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