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Humble Mumble その40:Google Assistantあるいは2034今そこにある未来(Years and Years 2019 UK&USA:HOB)

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私は機械が苦手だ。スマホにするのも物凄く抵抗があり、買ったところでアホな質問をしたり、へんなところを押してダメにしたり、高確率で妹夫婦に迷惑をかけるか逆鱗に触れてしまうので、最大譲歩でLINEのできるガラホで満足していたものの、仕事上そうも言ってられなくなり、約3年前の秋、半ば妹夫婦に両脇を抱えられながら池袋の大型家電店に連れていかれ、タヌはiPhone本体を買いに新宿に、ジェントルマンは右も左もわかならい突発性認知症になっている義姉につきあい、格安SIMカードの手配を店頭カウンターでサクサクしてくれ、その後タヌ宅に連行、あれこれ設定をしてくれ、やっとスマホデビューをしたのも懐かしい思い出です(涙)

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こういう奴ですね。ちなみに引越祝でタヌがハン1さんにプレゼントしたのは左のGoogle Nest Audioで、
結構音がいいです。ハン1さんは配送作業中に無料のSpotifyを使い倒しています

私から見てあらゆる最新デバイスを使いこなしている妹夫婦のお慈悲で、GoogleアシスタントなるAI機器も揃えてもらった。「OK,Google、○○かけて」と声をかけると好みの音楽が延々流れてくるのだが(いや、他にも機能満載ですけど!使いこなせません!)、私はお慈悲のオマケ無料コースなので、うっかり特定の曲なんぞお願いすると、プレミアムコースじゃないのでデキマセン!と断られる。ざっくり適当なのを頼むと、その範疇のをかけてくれる。「OK、Google, どうもありがとう」と声をかけると、「ドウイタシマシテ」と変な合成訛りで返事したり、何もしてないのに、電話で話してると「スミマセン、キキトレマセン」といきなり反応してビビルことも(-_-;)

Googleちゃんやスマホなんて、昔のアニメから見たらほとんど近未来、宇宙対応のデバイスなんだけど、もう生まれた時からAIに囲まれてるデジタルネイティヴ当然のこのご時世。天才ハッカーに若者が多いのも頷ける。この先どこまで技術が進んでいくかわからない。ババア(私)はついていけない。SNSは便利なようで匿名で人をも殺せる。

そんな世相を反映している、しすぎている超過激な超近未来ドラマ(6話完結)「2034今そこにある未来」にはどぎもを抜かれた。

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左から次男(マンチェスター市住宅課職員)、長男の長女、長女(国際人権活動家)、次女(給食センター職員)、
ばあちゃん、長男(外資金融会社勤務)、長男の嫁(会計士)、長男の次女。この一家とゲイのウクライナ難民に
まつわる、2019年から2034年までのホームドラマです

マンチェスター近郊の普通の家族の物語なんだけど、やけに進歩的なばあちゃん、孫、ひ孫、夫婦、同性婚、浮気、リストラ、デジタル依存、信用できない政府、異常気象、伝染病などあくまで身近なものを軸に、どんどん、どんどん世相が変わり、登場人物もそれぞれのスタンスで翻弄されていく。ピサの斜塔も倒れる。

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左)辛口庶民派発言家から英国首相にのぼり詰める「まずい」人 中)勝ち組外資金融系社員から銀行破綻で一文無しへ転げ落ちる人 3)ゲイだったばっかりに国を追われ、その後も毎日が危機一髪の大卒ウクライナ人

2019年の作品だから、製作にはもっと早くから取り掛かっていただろうに、今、このご時世で見るとあまりにリアルすぎるネタばかり。終盤はコロナを彷彿させる。本当に起きてるのかと錯覚するくらい。アメリカが中国の島に原爆を落とすとこから世相が狂い始める。敬虔なロシア正教の両親にゲイであることを警察に密告され、祖国を追われ難民となるウクライナ青年ヴィクトル。銀行破綻、全財産紙屑。デリバリーのバイトを11も掛け持ちする元エリート銀行員の長男(ローリー・キニア!)
イギリスの難民施設に収容されているヴィクトルのお世話などしてるうちに、マジで恋に落ち、同性婚ホヤホヤハッピーのはずなのに離婚までして全人生捧げることになる公務員次男ダニー。

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左)ウクライナ難民ヴィクトルと次男ダニエル  中)再会できても密告→投獄→逃亡の繰返しですぐに離れ離れに
右)助けるためには金が要る。ヴィクトルにはとにかくお金がかかり、最後は命まで落とすダニエル。
俯瞰してみるとヴィクトルはイケメン版ファムファタル

選挙だって今まさにイギリスで行われているかのような臨場感。下院補欠議員から英国首相にまで駆け上がっていく四つ星党ヴィヴィアン議員(エマ・トンプソン!)がほぼノーメイクで熱演!
フェイクニュース上等!信じ込む民衆!「Are You with Me?!」(一緒に戦いましょう!)とアジる政治家。イエエエエエ~っと盛り上がったところで、「ツイートしてね!」のダメ押しには参った。
「デジタルになりたい」と、本気で体にデジタル機能を移植?していく10代の娘。政府が費用を出し、政府の仕事に関わっていくので業績が良ければ無償でアップグレードもしてくれる。なんか、本当にありそうで怖い。攻殻機動隊とまではいかなくても”(-“”-)”

とにかくローリー・キニア、エマ・トンプソンというシェークスピア俳優とも言える名優の熱演。脇もすごい。難民淘汰のために、収容所で故意にコロナ的インフルを蔓延させ「不要」な人々をうまく消していく。「It worked!」怖いよ、首相。

最後に最悪の事態を大どんでん返しに導くのもSNSなんだけど、この主人公家族は3世代、4世代にもわたっているのに、とにかく連携が密でよく集まるし、助け合っている。その時に必ず使われるのが「シニョール」という、うちのGoogleちゃん系(それ以上,多分)AIだ。90歳前後のばあちゃんまで使いこなしている。

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20年位前、来日してテレ朝の夜ニュースにゲスト登場したエマ・トンプソンは、このまんまの
キャラだったので、結構地でやってるかもしれないと思いながら見ていました。怪演です

今、こんな世の中になってしまい、21世紀に地上戦なんて誰が想像しただろう。でもドラマの中でも首相が言ってるけど、「歴史は繰り返す」。
コロナといい、異常気象といい、ウクライナ戦争といい、もはや地震、雷、火事、親父なんかじゃすまない、今、そこにある未来に向けて、1日1日何ひとつ当たり前のことはないんだと謙虚に生きていくしかないっすね。合掌。