渡英二日目。前夜のベッドデングリ返し→マット床直敷きで天井が高い状態で目覚める。幸い時差ボケはそんなに影響が無い感じ。朝7時だが外はまだ暗い。この時期のイギリスは7:30~8時位にようやく日の出、16時過ぎには真っ暗になってしまう。反対に夏は22時位でも明るいらしいが前回来た時も冬だったので体験した事が無い。
朝飯を取る為食堂へ。ここはフルイングリッシュブレックファーストが食べられる。これが昨晩に続き黄色と茶色のハーモニー状態。ベーコン、ソーセージ、ベイクドビーンズ、マッシュルーム、焼きトマト、目玉焼き、いや美味しいのですよ。しかし見事に緑が無い。これが続くと恐らく腹に不具合を抱えそうな予感が出てきたが・・・がっつり食べてから今日の目的地へ向かう。
ユーストン駅まで10分程歩く途中に公衆電話BOXを見つける。最近東京でもあまりみかけなくなった代物だがwi-fiという看板が貼られていてここにwi-fiSPOTが設置されてんのか?公衆電話要らないよね?と思いながら中を覗くとピンク系チラシが山のように貼られている。こういうのは万国共通で昔から変わらん。しかしわざわざ公衆電話からコールガール呼ぶ人っているのかね?
今日これから向かう街はノーザンプトン。現地の人にまで「何故そんなところに観光で行くのか?」と不思議がられた街、ここ出身のロックバンドもBAUHAUS位しか知らない。好きなバンドだがわざわざ出身地に行くほどの熱烈なファンでも無い。この街の特色と言えばイギリス靴製造の総本山という事か。ジョン・ロブとかチャーチとか名前は知っているが私は一生履くことのない高級革靴メーカーがあり、工場併設のファクトリーショップ(アウトレットショップ)もある為、かなり安く靴が買える。とはいえ日本で8-10万するものが3-4万で買えるという感じで安くなっても高いのは変わらない。我々の目的はDr,Martens。革靴ではあるがワークブーツ系で値段もそれほど高くはない。一時人気低迷でどこかの投資会社へ買収されたが今は持ち直している模様。昔はパンク/ニューウェイブ系の方々御用達という感じだったが今は普通の学生風の人が履いているのを良く見る。嘗てパンク/ニューウエイブ系だった我々夫妻は50代なってもまだ履いているわけだが、日本の正規店で買うと2万~3万、並行輸入品でも1万5千円位するものがここのファクトリーショップで買うと5千~6千円程度で買えるという事でノコノコやってきた。
最寄り駅は本来Wellingboroughという小さな駅でそこからバスで向かうのが定番らしいが、日曜はバス運休というのを事前に調べていたので急行で行ける ノーザンプトン 駅からタクシーで向かう事に、タクシーを探すと歳は60代後半位、腕には入れ墨バリバリで歯が抜けてる運転手さんのランドローバーに当たった。「モーターヘッドのレミーに似てるぞ・・・」と呟きつつ乗車。
運転席と客席は完全にセパレートされ、会話はマイクを通して行う形になるのだが、私は彼の話す言葉が殆ど聴きとれない。妻が殆ど会話をしてくれていたが、後から聴いてみると彼女も訛りが強くて半分位しか判らなかったらしい。「ダイアナ妃はここの出身なんだ」とか「俺は子供が8人居る」とか「新婚旅行で来たのか?」とかそういう話だったみたいだが。よっぽどBAUHAUSの話でもしようかと思ったが「実はピーターマーフィーが同級生だ!」とか言われても面喰らうばかりなので止めておいた。
どう考えても帰りのタクシーを捕まえるのも難儀そうな場所だったので、帰りも利用させていただく、1時間後にここで待ち合わせという約束をして降車。本当ただの住宅街、店も小さな喫茶店やニューススタンドがあるだけでそれも殆ど閉まっている。休日の気だるい雰囲気が充満してるが平日でも変わんないんじゃないかなここ?EVERYDAY IS LIKE SUNDAYかよ。モリッシーも今じゃあれだしな。BEATLESの曲名にもあるBlackbirdという鳥を初めて見た。確かに黒い、小さな九官鳥という趣だが動作は機敏だった。
そんな場所だが目的地のファクトリーショップは大きめな専用駐車場に車が沢山、店内もお客さんが大勢、店員も若いお嬢さん方ばかりでかなりの活気。サイズ別に分けられているので非常に探しやすい。安いには安いが嵩むものなのでそんなには買えない。革製品だから通関ひっかかると関税も取られるし。結局私2足、妻1足、うち1つは金色のシューズでサイズ違いお揃い。馬鹿ップルかよ・・・。
まだ帰りのタクシー約束時間まで余裕あるので近所を散策。人が殆ど歩いていない。もう昼飯の時間なんだがみんな家で食べてるんだろう。レンガ壁に囲まれた小道が良い感じだったので写真撮ったり。広大な墓地を眺めたりして時間を潰す。ドクターマーティン本社入り口で写真も撮ったがどんだけファンなんだ?ショップ駐車場に戻ると既に待機中だったタクシーに乗り込み、やはり聞き取れない会話を聞きとろうとして少し疲れて来たところでノーザンプトン街中に到着。
事前に調べておいたパブへ入店して昼飯。かなり大きいパブで地元の方々のたまり場という趣。妻はラザニア、私はハンバーガーとビール。ビールはパブ店員さんお勧めの地場エール。美味いけどぬるい。イギリスではぬるいビールを飲むというのは事前情報で知っていたが、いざ本当に飲んでみるとこの気候で飲むんなら悪くない。ついついお代りした所にハンバーガー到着。デカイ・・・チーズ凄い・・・で、またポテト半端無い量。ビール二杯流し込んだ腹には入りきらん。美味しいんですけどそろそろ「野菜食べたい・・・」という呻きが。妻のラザニアも凄い量だったが彼女はデザートも追加し御満悦。お互い良く食べますな。
街中から駅までは歩いて15分程度なので腹ごなしも兼ねて歩く、うむ、確かにここは観光地では無い。街はそこそこ大きいが観光客相手ぽい店が全くない。よそ行きの顔を全然見せない街だ。安いスーパー、安い服屋、安いドラッグストア、そしてその合間に「TO LET(貸家)」という張り紙がされてる潰れた店の跡。ウィンドウに飾られてるジャケがかなり興味深いアイテムばかりのレコード屋を発見したがお休みだった。ワクワクするような場所では無いが奇妙に落ち着く街だった。
帰りはこの駅から直接ロンドン戻るより、数駅先のRugbyという駅まで行くと特急電車に乗れることが判ったので行ってみた。少し時間があったので外へ出て15分程度駅前散策。 ノーザンプトン 以上に何も無さそうな街、地名の通りスポーツのラグビー発祥地なのもあり、駅前に「2019日本」と書かれた巨大なラグビーボールオブジェがあったのが収穫か。ここ出身のバンドSpacemen3,Spritualizedは大好きなんだが彼等も地元では殆ど演奏せず近郊のバーミンガムやコベントリーがメインの活動地だったらしい。
ようようロンドン帰還。近所のスーパーで買い物して夕飯を済ます。しかし何食べたのかこの時だけ殆ど記憶が無い。そして床直置きマットで2回目の就寝。明日は朝早くここを経つのでホテルの朝飯は抜き。南へ向かう。最寄り駅はウォータールー、そこからボーンマス行き。Robert Fripp Greg Lakeの出身地だ!本当の目的はそれでは無いのだが。