歴史はあまりよく知らないくせに、歴史ものが好きだ。特にイギリス系は食指が動く。「キング・アーサー」なんて言ったら単語として「円卓の騎士」とか、「聖剣エクスカリバー」くらいしか知らないが、「新作!欧米で大コケ!監督はシャーロック・ホームズのガイ・リッチー!」なんてネットで見たら、見たくなってしまう。アーサー王ものは諸説あるので、様々な切り口の作品が長きにわたり沢山作られてきたという。アーサリアンとかシャーロキアンとかいう、コテコテのファンが世界中にいるそうだ。今では本作品のDVDとサントラまで拙宅に揃っている!(はまるとひつこいので)
これは両親を叔父に殺され、インド感ムンムンのロンデニアム(ロンドンの前身?)に流れ着いた幼児アーサーが、スラムで娼婦の姉さん達に育てられながらたくましく育ち、自分に流れている血にイヤイヤ目覚め、紆余曲折の末、仲間と共に聖剣を手に悪魔と化した叔父を倒し、王座につくまでの話だ。まだランスロットもグィネヴィアも影も形もない。キャッチコピーが「スラムのガキから王になれ!」だから、そりゃないよな~と思ったが、とにかく「時代劇」として見るには監督の世界観がぶっちぎり異次元で、台詞まわしも「シャーロック・ホームズ」のノリを踏襲してるので、「その会話、ほんとに必要か?」と思う場面も多々あり。アーサーに武術を教えるのも中国人だし"(-""-)"←その後円卓入り。着ている服も、21世紀の若者と見まごう解釈ぶり。体も鍛えまくって猛マッチョ!
それでも映像が本当に綺麗。俳優さんたちも端役に至るまで、どこか品格があり、わざと聞き取りにくいイギリス英語をしゃべっている。お愛想でフットボールのベッカムが嫌な兵士でちょっと出ているが、彼の英語などは日本語に置き換えたら「下品なズーズー弁」に等しいだろう。悪い叔父、ジュード・ロウがものすごく悪くて素敵!ユニバーサル・ハゲになりかかっているのを逆手に取り、民草に「ヴォーティガン万歳!」]と呼ばせて恍惚とするところなど、末代まで残る名演だろう。絵に描こうと思ったがかっこよすぎて描けませんでした。(スケッチ参照)
アーサーを助ける魔女、メイジ。これが一番の収穫!モデルあがりのフランス女性が演じているが、素晴らしいフランス訛りの棒読み。無表情。そうでなくちゃ!それがいいの!魔法を使うといっても、よくある指先から光ピカーッ、チュドーンとかではない。指をピクピク動かしながら、目を白黒させながら一生懸命呪文を唱えながら、遠隔から動物などを使い魔法をかける。「かけます、魔法、かけます、ううううう...」感が凄く新鮮!怪我もするし、敵にも簡単に捕まる。コツコツ勉強してきて魔法覚えましたって感じ。空も飛ばないし、いつも徒歩だし、姿も消さないけど、凄い存在感だった。凄いといえば、音楽!最初から最後まで疾走するような、重厚な独特のリズム、打楽器、弦楽器でグイグイ、見せ場を盛り上げていく。いきなりマカロニウェスタンみたいな、演歌のような歌が流れたり(相当の自信作みたい)、やっぱ、欧米でコケたってのも無理ないかもしれないけど、練馬ではバカウケ!DVDより先にCD買ったくらい、映画を離れても200%堪能できるサントラです。
アーサー王関係の映画は多いというので、ちょっと探してみたら90年代「トゥルー・ナイト」(First Knight)というのがあった。晩年のアーサー王をショーン・コネリーが演じていて大納得だったが、ランスロットを当時の大人気スター、リチャード・ギアが演じていて、出てくるたびに「Pretty Woman]のイントロが頭をよぎり集中できませんでした。