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episode 1010 : Kaohsiung in flood : one

「高雄冠水(前編)」

 父の百か日が過ぎ、秋のお彼岸に入ろうとする9月半ば、台北に住む従兄の招待で4年ぶりに三姉妹全員で台湾へ行った。三姉妹揃っての旅行は実に40年ぶり、さらに台湾へ揃って行くのは初めてだ。従兄も、5日間の旅程にできるだけ多くの親戚に私達を会わせようと、どこかの要人並の移動スケジュールを立ててくれ、各地に点在する親戚を訪ね、最後は高雄に住む叔母に会う予定だった。

 最初に訪問したのは、台中に住む伯母と従姉で、従姉のご主人は美容整形外科医だ。上階は住居、階下で病院を経営しており、再会した伯母は、以前は小さく歯もなくだんまり坐っていたのに、今回は闊達にガハガハと喋りまくっていた。何と総入歯を入れ、レーシック治療で眼鏡も外し、顔もリフティングを施し、相当若返った上に88歳にして株の売買に勤しんでいるのだという。伯母の改造はレーシックも含めすべて娘婿にやってもらったそうだ。悠々自適の伯母は私達3人に「お金は余り沢山あっても、子供達がだめになるだけだから、程々に頑張りなさい」と助言してくれたが、父の死後、遺産相続どころか親の負債を免れるため、相続放棄に奔走した私達は「伯母さん有難う。大丈夫、私達全然お金ないから」と満面の笑みで感謝し、台中を後にした。

 台北を出発する頃からその頃発生した台風11号の影響で空模様が怪しかったが、何を聞いても従兄は「ノープロブレム!」しか言わない。徐々に雨脚が強くなり、翌日は早朝から大荒れだった。それでも「こんな台風、小さい方だって。問題ないよ。予定通り行くから」と次の訪問地、麻豆の叔母を訪ねた。目抜き通りで雑貨屋を営む叔母夫妻の店で、ばんばん降込む雨をものともせず、集った親戚全員、皆店先で立ち話。叔父は店の前のアーケードに並べた椅子に腰掛け、雨しぶきを浴びまくりながら嬉しそうに流暢な日本語で父の昔話をしてくれた。姉が中に入ったほうがいいと勧めても、外の方が涼しいからと動かない。そのうちどんどん風が酷くなり、叔父の横に路駐していたバイクが激しく倒れ、危険極まりない中「叔父さん、雨が凄くなってきたよ」と言ったら、「大した事ないですよ。この上に『土砂降り』ってのがあるんですから」と軽く笑われてしまった。その横で倒れたバイクを起こした女性が、どうって事なく走り去っていった。

 次の目的地・台南からは、日本に留学経験のある従姉の次男夫婦が車で迎えに来てくれた。いよいよ台風が本格的になる中、車の半分が沈むほど水が上がってきた道路を、私達は麻豆から曇天一路、台南へと全力で向っていったのだった。
…次回、衝撃のラストへ!台風警報の台南はどうなる?高雄は?乞うご期待!

Oct. 2010