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Humble Mumble その34:英国スキャンダル A Very English Scandal(2018 BBC1)あるいはベン・ウィショーまつり幕開け

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私ははまるとひつこい。本当にひつこい。ゲースロだって8シーズンもあるから、手は出すまいと決めていたのにすっかり制覇、先般無事開催された「第2回ゲースロ婦人会」ではゲースロを教えてくれたMさんとタヌ3人で、会議室を借り、ジャンクフードに、夕方2割引きセールのデパートの弁当をがっつきながら、DVDに見入り「キャトリンはバッカだよな!」「あのビッチ、大嫌い!」「あのシーンは泣いたね!」「さっさと殺せ~!留めさせって言ってんだよ!」「トメイ、かわいい~」などと、いまだに1分たりともゲースロを見ていないタヌには、多すぎる登場人物の立ち位置を「どろろ」の登場人物に例えたりして*一緒にエンジョイ成功!(平和な日本...) 

しかし婦人会開催までに私の心はすでによそに移っていた。前回「パフューム」で紹介したベン・ウィショーの怪演にすっかり魅せられてしまったんです!そのくせ、おっと、いけねえ、「007のQ役でお馴染みの~」なんて見てもいないのに書いてしまった。前に紹介した性転換もの「リリーのすべて」や女性参政権もの「未来を花束にして」にも、彼は実にさりげなく出演していた。

その時は特段、ええわあああ~と萌えるものもなかったのだが、パディントン熊の声もこの人なんだよね~くらいのノリで検索していたら、ドッカーン!3話完結のBBC1制作テレビドラマにぶちあたってしまった!A Very English Scandal!!こんなのお茶の間でやってたんだ~...好きそう、イギリス人...

英国スキャンダル?セックスと陰謀のソープ事件 [DVD]

1965年以降、イギリスで本当に起きた、英国政治史上最もスキャンダラスな「ソープ事件」を元にしているドラマ。まだ同性愛が違法だった時代。8(♂)対2(♀)の割合で快楽を追求していた脂ぎった下院議員にヒュー・グラント!支援者の家でたまたま出会った美青年にベン・ウィショー!3話で174分。一気に見てしまった。なんなの、今まで見てきたベン・ウィショーは!つい最近の作品よ、これ!

エピソードは①情愛②殺意③対決といった流れになっているが、「同性愛はいけないことと」と、それまで信じていた青年を目覚めさせてしまう、エロイ議員、ヒュー・グラントもものすごくポッシュでいやらしくて、イギリス、イギリスしているんだけど、ベン・ウィショーが凄すぎる!壊れそうな、うるうるした笑顔。細い腰つき。すぐ泣く、おしゃべり、自己主張の勃発。怒髪天ついたゲイほど弁がたつ!(私の自論ですが...) 

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キャイーン♡

アパートまで借りてあげても、議員さんは忙しいから、やるだけやって、そそくさと仕事にいってしまう。他でも浮気してる。「僕のウサちゃ~ん♡」なんて呼んで、会えない時はこまめに議員会館の便箋でお手紙までくれたのに。家庭的にも恵まれなかった彼は心も病んでいて、自分のアイデンティティを否定されるとヒステリーを起こす。「僕は一体何なの?どうすればいいの?あなたが僕にホモセクシャルの病原菌をうつしたんだ!」と部屋を飛び出し警察に駆け込む。「JT議員と性的関係を持ちました!」といきなり訴える。議員さんの実家のママに17枚もの手紙を送る。かと言って、映画ではお金をゆすってるわけではないのだが(ご本人様はまだ存命で、もっとエグくて、色々ゆすったらしいです...)、一貫して必ず主張するのが「僕の国民健康カードを再発行してくれるって言ったのに、手続きをしてくれない!」これがないと、まともな職にもつけないし、各種保証も受けられないとか。日本と微妙に違うんだけど...「僕の唯一の命綱なのに!」と...

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やるだけやってサイナラの図

そんなウサちゃんがウザくなった上昇志向満々の議員さんは、本気で彼を殺そうとする。もちろん、自分は手を下さず。そして殺害失敗、裁判へ。とにかくベン・ウィショーの演技がきめ細かい。「どうしよう、裁判だなんて...いいや、酔っちゃおう!」とディスコに繰り出す。1970年代大ヒットした、エイミー・スチュワートのKnock on wood(これのPVもスゴイです!)に合わせて、もう壊れんばかりにノリノリに、そのスジのかた独特のキレッキレダンスを披露してくれます!

裁判直前でもドキドキしてる様がかわいく、字幕ではちゃんとひろわれてなかったけど、「相手はイートン行って、オックスフォード出てるんだよ。僕なんかリーズの中卒だから」てとこが自然でよかった!

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裁判終わりました~♬

裁判では議員さんつきの弁護士が控室で「なぜあいつがあれだけ頭がいいって隠してたんだ!」とマジギレするほど、機転の利いた弁明でウケまくる。結局、時代の流れと権力には勝てず、議員さんの勝利に終わるのだが...イギリスの片田舎の風景、ファッションも見ごたえあったな~

とにかく見終わって興奮さめやらず、何をしたかというとQ役で出てる007を見ました!う~ん、チャーミングでした。あと、メリー・ポピンズ・リターンズも。地味~。でもね、もう本作はベン・ウィショーの独壇場!他の作品は「ベン・ウィショーの無駄遣い!」と言えるほど。

私ははまるとひつこいから...と言いながら、すでに数作品取り寄せてしまいました。ええ~?、わるい~???(BGM:Knock On Wood、by Amii Stewart) 


この曲でノリッノリ。ちなみにこのPVも低予算が一目でわかるが猛烈なインパクト。Annexファンなら必見です


*どろろの登場人物に例えたり…:1話完結のTV時代劇は大好きだが、スケールのでかい大河ドラマ系にめっぽう弱いタヌにとって、手塚治虫原作で、本年50年ぶりにリメイクされたTVアニメ「どろろ」は、舞台が室町末期の北陸地方限定で、登場するのは日本史でも習った守護大名、富樫氏に仕える醍醐家(作品の中心になる一族)と、醍醐家と対立する朝倉氏、斯波氏など他の守護大名位わかっていれば、主要人物が少なく時間軸も半年程度、あとは回想シーンで構成されているので、登場人物の相関図は容易に理解できるのだが、ゲースロの多岐にわたる人物や諸国間の相関関係が全く頭に入らず、キモの場面になると「これはどろろにおける朝倉みたいなもんだ」「これは醍醐領の話だ」といちいちハン1に説明されながら、4時間にわたる第2回ゲースロ婦人会を大いに満喫した。